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ハーレムに咲く華達
第5章 エルシェ
父の仕事場は、お城の中の一室にあった。

「いつもここで仕事しているのね。」

「エルシェ、あまり触るなよ。」

仕事場は、書類や本ばかりで、座る場所もない。

私はここでも、窓辺に腰を下ろした。

「ファン・エス様。皇太子殿下が、お見えです。」

「えっ?急に⁉」

驚いて父を見ると、ウィンクされた。

きっと、父がこの場所に呼んだのだ。


そして扉が開いた。

私はその瞬間を忘れない。

この世とは思えない程、美しい青年がそこにいたからだ。


「ファン・エス殿。お招き有難うございます。」

「ようこそ、我があばら部屋に。」

皇太子殿下が笑っている。

私はその美しい青年に、目を奪われ、ずっとその一挙手一投足を見つめていた。
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