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第3章 ヘルダ

ヨハンは、歴史にも精通していて、17歳に成長した頃には、歴史の研究家になっていた。

でも、今でもヨハンは皇帝になったハブリエルを、父上と呼べない。

子供の頃に、「父上と言うな！」と怒られ、泣いて帰って来た。


「ごめんね、ヨハン。」

ヨハンには、私から話した。

ハブリエルを殺そうとして、男に襲われた事。

その一人がハブリエルで、決して愛情があった訳ではない事。

ハブリエルは、ヨハンが自分を殺すかもしれない、腫物として見ている事。

「辛いでしょうね。お母さんが全部悪いのよ。」

ヨハンは黙って、全部受け入れてくれた。


大人になりヨハンは、皇帝ハブリエルの側近になった。

彼は、皇子ではなく家臣として、生きる事を許されたらしい。

そんなヨハンは、私の誇りだ。

男の愛情など、私には掴めなかったけれど、子供という大事な宝物を手に入れたから。