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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第42章 脅迫
『そんな態度が出来るのも今日までだ…。』

狩野はどす黒い怒りを隠し、光江と共に会議室に入る。

「それで…?話って何?要点だけ、手短にしてちょうだい。」

1人だけドサリと椅子に座り、脚を組む光江。長く魅力的な脚が太ももまで露わになるが光江は気にしない。どうせ狩野に直視する勇気などない。オドオドしながら、どこを見てるかわからない俯き加減で話すのが常なのだ。

しかし、この日の狩野は違っていた。蔑むような目で光江を直視し、見下ろしながら口を開く。

「では、要点だけ…。貴女の父親…玉木取締役が、横領している事実があります。いかがされますか?」

「…はっ?な…何を言ってるの…?あ…あなた…。」

「完全なる事実です。証拠もあります。一部お見せしましょう。モニターをご覧ください。」

いつものオドオドした雰囲気から一変、自信に満ち溢れたように話し始める狩野。すでに準備済みだったようで、会議室に備え付けられたパソコンを操作すると、モニターにズラリと数字が並ぶ。

それを見た光江の顔がみるみる青ざめていく。

『くくっ…。その表情が見たかったんだ…。いつも偉そうに傲慢なお前のその顔が…。』

狩野は内心でほくそ笑みながら、説明を続ける。

『まだまだ…お前を絶望に突き落とすのはこれからだ…。』

光江の表情を観察しながら、狩野はさらなる爆弾を落とす。

「…以上のことから、取締役が横領しているのは明確…。さらには…玉木取締役は…何故かこの方と一緒にホテルに泊まられてるんですが…。ご存知ですよね?この女性…?」

「う…。冴島…悠夜ね…。」

光江は狩野の問いに渋々答える。答えたくはないが、立場上、知らないとは言えない。冴島悠夜はライバル会社の社長の娘なのだから。

「良いんですかね?取締役ともあろう方が、ライバル会社の女性と親密な様子でホテルに入られるなんて…?横領と合わせて…何かしら悪い事でもされているんでしょうか?」

光江は黙り込む。狩野の問いに答えられる筈もない。自分もがっつり絡んでいるのだから。そして、狩野の爆弾はまだ続く。

「そうそう…。ホテルと言えば…こんな写真もあるんですよ?」

「なっ…!?なんで…そんな写真が…?」

映し出された写真は光江が男性とラブホテルに入る瞬間のもの。腕を絡め、親しげな様子でラブホテルに入る様子が連続で撮られている。
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