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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第42章 脅迫
そんな狩野にピクピクとこめかみを引き攣らせ、光江は睨み付けてくる。だが、それでも光江は強気の態度を崩さない。

「ふん…!あなたが何を言おうと、簡単にもみ潰すことが出来るわ…!舐めないでっ!あなたは首よっ!今すぐ首にしてやるわっ!」

光江はそう吐き捨てる。実際に狩野を首にするのは簡単だ。鎌田取締役に何と言われようと、明日の朝いちまでに、証拠隠滅に動けば、間に合わない話ではない。そう考えた光江。

「あなたがいくら吠えようが、私にはそれを握り潰せる力がある…。無能なあなたと違ってね…。残念だけど…。明日にはあなたに会社の席はないわ…。荷物をまとめることね…。それから…2度とこの業界で働けると思わないで…。」

光江はそう言い捨てて、踵を返す。出来ればデータを奪いたいが、狩野は素直に手放さないだろう。しかし、失職するとなれば、狩野は困るはず。データと交換条件で会社に残してやる。そんな腹づもりの光江。

光江が扉の前まで行くと、狩野が声をかける。

「課長…?すみません…。」

『ほら…来たわ…。泣いて謝るといいわ…。これから、もっと奴隷のようにこき使ってやるわ…。』

内心のどす黒い考えを隠し、光江は笑顔で振り返る。そこには未だ余裕の表情で椅子に座る狩野がいた。

「まだ、話の続きがあるんですよ?勝手に帰ろうとしないでくれますかね?」

「は…話すことなんて…!あなた…本当に首になりたいわけ…?」

光江は腰に手を当て、仁王立ちで狩野を睨み付ける。イライラがまた沸き起こる。

『何よ…こいつ…。さっさと土下座してでも謝りなさいよ…。何なのよ…!』

理不尽に怒りを沸騰させ、苛立つ光江に、狩野は再び携帯をちらつかせる。

「課長の不倫写真だけじゃなくてね…。旦那さんのもあるんですよ…。ほら…。」

狩野が光江に携帯を見せつけるように操作する。スライドした画面に光江の夫が若い女性とこれまたラブホに入る瞬間の写真が映し出される。

「なっ…!?何これ…!?あ…あの人…。こんな娘と…。な…何してくれてるの…!?だっ…誰のおかげで…!」

「おやおや…、自分もがっつり不倫しといて…旦那さんの不倫は許せないんですね〜。」

「ぐっ…!だっ…だから何っ!?さっ…さっきも言ったけど、私の家庭に口出す権利なんてあなたにないのっ!!そんな写真…あなたには何の価値もないわっ!」
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