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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第11章 秘書①
『やっぱり政治家との会合って言うとビビるな…。事務職やってた若い子にゃわからん世界だろうな…。よしよし…。』

狩野は順調に琴美を追い詰め、自分の思い通りにするための状況を作り出していく。

「君はまだ30歳にもなっていないし、田舎に帰るかしてもう一回やり直すのもいいんじゃないか?」

狩野はわざとらしく提案する。しかし、琴美は激しく拒否する。

「そっ、それは…。できません…。まだここで働きたいです…。お、親を頼ることなんてできないんです…。」

狩野は琴美の言葉に内心の笑みを強くする。田舎には帰れない。東京への未練が捨てられない。アラサーになる独身女性が職を失う恐怖を自覚させ、自分の言うことを聞くように誘導していく。

「そうは言っても我が社にもミスするような社員を置いておく余裕はないしな…。」

「申し訳ありませんでした。絶対に次からはミスしませんから。少しでも貢献できるように頑張りますから…。お願いします。」

琴美が必死に頭を下げる。その様子に心がほだされたように狩野はため息をつき、立ち上がる。

「仕方ないね…。君がそこまで言うなら…。このまま社員として頑張ってもらうかな…。」

「あ、ありがとうございます。社長!頑張ります。ありがとうございます。」

「但し、秘書の君がしっかり我が社に貢献してもらはないとな。」

「は、はい!頑張ります。」

「秘書の仕事は何が大切なんだ?」

「は、はい…。社長が働きやすい環境を整えることでしょうか…?」

「素晴らしい。その通りだよ。梶谷君。私が働きやすくなるように今から君に頑張ってもらいたい。」

「は、はい…。社長?」

狩野の真意がわからず困惑したように返事をする琴美。そんな琴美の目の前に立つ狩野。

「最近、私もストレス続きでね…。モチベーションやパフォーマンスも落ちてきている気がするんだよ…。だから君には私のモチベーションなんかを上げられるように頑張ってほしいわけだ。」

「はっ、はあ…。」

未だ理解できずにいる琴美に狩野は決定的な一言を告げる。

「何、簡単なことだ。君のその魅力的な身体を使って私を喜ばせてくれればいいんだ。」

「なっ…!?何を言って…。」

「そうすれば私のパフォーマンスは上がり、会社も良くなる。梶谷君が頑張って私を喜ばせてくれればだがね。」

狩野はぽんっと琴美の肩に手を置く。
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