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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第42章 脅迫
『な…なに…あれ…?あんなに…膨らむ…?あ…あれで…ヤラれたら…。に…逃げなきゃ…。』

優子は父親以外で1人の男性のモノしか見たことがない。その男性のは決してあんな大きさではなかった。じりじりとベッドの上を後ずさる優子。恐怖のあまり声も出ない。そんな優子に狩野は邪悪な笑みを向ける。

「なんだ…?帰らずベッドの真ん中まで移動するってことは、俺に身体を差し出すつもりになったか?」

狩野はサイドテーブルに携帯を置く。テーブルの上にあるティッシュケースに立てかけるように。そして、ネクタイを手にしたまま、ベッドへと近づく。

「やぁっ…!ち…違…う。わ…私は…帰…る。帰るの…。お願い…。帰らせて…。きゃぁっ…!?」

ようやく声を出すが、狩野が覆い被さるようにのしかかってくる。ベッドの上で仰向けにされ、両手を上から押さえられる。

「本当に帰っていいのか…?万引きの動画…お前の学校にも送ってやるが…。親にも…。ネット上にも…。あらゆる人間がお前の愚行を見れるように…。」

至近距離で見上げる狩野の目は狂気を妊んでいた。その獣のような目に優子は絶望する。

『こ…この人…。本気だ…。本気で晒すつもりだ…。ば…バレたら…。みんなにバレたら…。ママ達に知られたら…。』

優子はグレて万引きに手を出したわけではない。友人達も両親も、みんな優子には優しい。イジメに遭ってるわけでもない。現状に大した不満なんてない。強いて言えば、父にも母にも別の異性の影が見え、両親同士は冷めた関係であるというくらい。

しかし、それも強いて言えばくらいだ。優子だっていつまでも子どもではない。両親の地位くらいになれば、不倫や浮気など当たり前にあることだと思っている。

優子が万引きをしていた理由は単に刺激を求めてだった。お金に不自由しない暮らし。容姿も学校一と言われるレベル。成績も上位。スポーツだってそこそこできる。だからこそ感じる退屈さ。努力しなくても多くのものが手に入る張り合いの無さ。それらが万引きという刺激を求めさせていた。

しかし、今は自分の全てが通用しない存在が目の前にいた。

「お…お願い…。許して…。お…お金なら…両親から…もらってくるから…。だから…許して…。帰らせて…。」

必死に優子は懇願するしかなかった。しかし、狩野の反応はつれなかった。

「お前の身体以外に興味はない…。」
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