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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第17章 バー
佐久間まさみ24歳。小さな店舗で日替わりのバーで月曜と木曜担当のガールズバーの一応店長をしている。
もともと大学時代からアルバイトとして働いていたが、まさみが卒業間近になって、その時の店長が店を畳むと言い出したことで、まさみは自分が店を引き継ぐことを決心する。大学で経営を勉強し、自分でお店を持つことを夢見て、その一歩としてやりたいと考えたのだ。
店舗を持つオーナーとも話し合い、まずは日替わりのバーとして運営し、まさみはアルバイトから念願の店長へと昇格する。もう少ししたら毎日、まさみの店として稼働出来そうなところまで順調に来ていた。

そんなある日の深夜。

『困ったな~。そろそろ店じまいしたいんだけど…。今日の狩野さん、なんか荒れてるな~。』

数名しか座れないカウンターと立呑み用の背の高いテーブル。その小さな店の中で、カウンターの一番奥に1人の男が酒を飲んでいる。常連と言っていいくらいには来てくれている狩野孝宏がかなりのペースで酒を煽っている。

狩野が店を訪れるのは月に1、2回。まさみがこの店舗でバイトし始めたときから来ている。基本1人で訪れ、ゆっくりとしたペースで店員の女の子と会話を楽しみながら飲む。下世話な話は自分からはせず、女の子を口説くこともしない優良客である。

そんな狩野が珍しく酔っていた。もう閉店間際で他に客はおらず、バイトの子も上がらせたため、店にはまさみと狩野しかいない。

普段、このように客と二人きりになることはない。このように酔っ払った客は早めにタクシーを呼んで帰すのだが…。

人当たりの良い狩野につい、まさみも油断していたのかもしれない。この後に起こる惨劇をまさみが知る由もなかった…。
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