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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第4章 管理人
「またがんばって働いてすぐ返します。家賃もすぐに払います。だから…。」

「この不況の中、頑張るって言ってもね~。じゃあ、私から提案があるんだけど…。」

狩野はそう言って懐から厚めの封筒を取り出し、目の前のテーブルに置く。

「100万あります。交換条件を飲んでくれるなら差し上げます。それに今月の家賃も待ちましょう。」

「えっ!?そっ、そんな大金…。それに交換条件って…?」

狩野はゆっくり立ち上がり、千里の目の前まで来る。ポンッと肩に手を置くとゆっくり肩を撫でる。

「何、簡単な条件ですよ。あなたにはお金の代わりになるものがあるじゃないですか?その素晴らしい美貌と身体が。」

「なっ!?何を言ってるんですか!?そんなことできるわけないじゃないですか!?」

慌てて狩野の手を振り払う千里。しかし、狩野はにやにやと笑い言う。

「もちろん、断ってもいいんですよ?その代わり今すぐ今月分を払ってもらいますよ?払えないなら出てってもらうことになりますが…。」

「そっ、そんな…。ひどい…。」

「ひどいって、それは失礼だね?こっちは何回もあなたの家賃肩代わりしてあげてるのに。誰のおかげで安く住まわせてもらってるんだい?なら、今までの家賃の通常分も払ってもらおうか?私はどっちでもいいんだよ?」

「そんなっ!?そんなの無理です…。そんなお金…。」

「だからこその交換条件ですよ?こっちだってそれなりのリスク背負って助けてきたんだ。もうあんただって大人だ。いつまでも甘えられても困るんだよね。」

悔しいが千里には言い返すことができない。もともと狩野は両親の知り合いとは言え、ここまで千里を助ける義務はない。それに甘えていたと言われても仕方がない。

「最近は身体売ってお金もらってる子も多いらしいし、君もそうすればいい。ただ相手が俺なだけ。しかも俺の相手をすれば一気に100万も貰えて、家賃も安心。悪い話じゃないだろう?」

「私はそんなことしてませんから…。」

「だったら出ていくかい?」

「……。」

ここまで千里は健全にお金を稼ぎ借金を返してきた。それをここで躓きたくない。そんなプライドが狩野の提案を拒否に傾ける。しかし、仕事を一つ失った今は先行きが不安定なことが狩野の提案を魅力的に思ってしまうのも事実だ。

そんな風に迷い、何も言えなくなった千里に狩野が再び提案する。
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