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第23章 復讐

えいみがカタカタと震え始める。俯き、自分の肩を抱き、ただただ震える。男はそれ以上何も言わず、静かに座っている。
やがて、車は何かの建物の地下に入っていく。そこは駐車場になっていた。車が止まると男はえいみを連れて、建物の中を上がっていく。建物は人影がなく、すれ違う人はいない。

男は目的の部屋に着くとドアを開け、中にえいみを放り込む。

「きゃっ！？乱暴しないでよっ…？」

えいみは男に文句を言うが、途中でポカンと口を開ける。部屋の中には奇妙な風景が広がっていたのだ。
部屋の中は何故か電車の中が再現されている。低い天井から吊り革がいくつも垂れ下がり、両側に電車のベンチシートが置いてある。さらにいくつも大きなカメラが置いてあるのだ。そして、そんな空間に見るからに怖そうな男達が数人いる。

「なっ！？何ここっ！？あんた達誰っ！？ここどこなのよっ！？私を帰しなさいよっ！！」

えいみが周りの男達に食ってかかる。すると、シートに座っていた男が立ち上がり、近づいてくる。

「やれやれ。元気で煩いな…。まあ、その元気いつまで保つかな…？」

芹沢がえいみを観察するように視線を覗かせてくる。その危険な雰囲気に、えいみは一歩退がってしまう。

「おいっ。やれっ！」

芹沢が短く命令すると、強面の男が後ろからえいみを捕まえる。さらに部屋にいた男達も手伝い、えいみを部屋の中心に連れていく。

「きゃんっ！？な、何するのっ！やめてっ！離してよっ！」

えいみは抵抗し暴れるが、数人の男達の前では意味をなさず、部屋の中央に連れて行かれる。そこには吊り革が垂れ下がっているが、他の吊り革と違い、革の手錠が付いている。男達はえいみの両手をそれぞれ吊り革の手錠に拘束していく。

「何よ、これぇ…！？は、離してって！？離しなさいよっ！いったいあんた達何なのよっ！私をどうするつもりっ！？」

えいみは両手を拘束され、頑丈そうな作りの手錠や吊り革は、引っ張っても外れそうにない。

「俺達が何者なのかは関係なくてな…。お前が今からどうなるかはこの方に聞け…。」

芹沢が合図を送ると部屋の扉が開き、狩野が入ってくる。狩野はニヤニヤしながらえいみの正面に立つ。

「な、何よっ！？あんた！あんた誰なのっ！私をどうするつもりっ！？早く離してっ！」

えいみは目の前に立った狩野に対して言う。狩野のことに気づいていない。