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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第23章 復讐
「やっぱり覚えてないか…。この時点で思い出して謝るなら、許してやらなくもなかったが…。」

狩野はギロリとえいみを睨む。えいみのせいで狩野は人生めちゃくちゃにされたのに、えいみは顔すら覚えていないのだ。狩野の奥底からふつふつと怒りが湧き上がる。

「あ、あんたなんか知らないわよ!人違いよっ!離しなさいよっ!ねえっ!聞いてるの!?あんたなんか知らないんだからっ!ぎゃんっ!?いっ、痛いっ…!?何するのよっ!?」

キャンキャン叫ぶえいみにイラつき、狩野がえいみの頬を叩いたのだ。狩野は少し冷静になる。

「こっちはお前のせいで人生めちゃくちゃにされてんのによぉ…。覚えてないだと…?いい加減にしろよ?」

「な、何言ってるの…。私はあなたのことなんか…。」

「よぉく、思い出せよ…?今日あったこと。そして、なぜここが電車の中が再現されているか…。よく考えて思い出せよ…?」

狩野はえいみを睨みながら言う。

「今日あったこと…?電車の中…?ど、どういう…?」

えいみはこの状況に頭が真っ白で上手く思考が働かずでした何も思い出せない。

「3年前…。お前のせいで人生めちゃくちゃにされたのによぉ…。お前はのうのうと生きて、また同じことを繰り返しやがって…。」

狩野の言葉の端々に怒りが滲む。えいみはなんとか思考を動かす。

「3年前…?同じこと…?何が…あっ!?あ、あなた…まさかっ…!?あ、あの時の…痴漢…?」

「痴漢じゃねえっ!?お前が金欲しさに痴漢に仕立てたんだろっ!ふざけんじゃねえぞっ!?」

「あ、あれは…。違うの…。わ、わざとじゃ…。ねえ…。違うから…。」

えいみは完全に思い出した。目の前にいるのは3年前に自分が痴漢されたと騒ぎ立て、示談として金をせしめた男。雰囲気がおとなしそうな印象から暴力的な印象に変わっていたので、本当にわからなかった。確か痴漢騒ぎの後に理奈によって会社を首になったと聞いたが…。

「あ、あなたが首になったのは私のせいじゃ…。理奈よっ…!私じゃないっ!理奈のせいよっ!私はお金が欲しかっただけでっ…!あなたを首にしたりするつもりはなかった!ぜ、全部理奈のせいよっ!」

「この後に及んで言い訳と先輩を売るのか…?浅ましい奴だな…。お前のせいだとよ?理奈?」

狩野が振り返るとスーツ姿の理奈が入室してきた。

「理奈先輩っ!?ど、どうして!?」
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