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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第6章 相部屋①
「はぁっ…。さっぱりした…。狩野君もどうぞ。」

ホテルのガウンに着てバスタオルで髪を吹きながら部屋へ戻ってきた菜摘が孝宏に声をかける。

「はい…。失礼します…。」

孝宏は動揺を隠しながら、急いで脱衣場に駆け込む。孝宏がシャワーを浴び、部屋に戻ると菜摘はどこかに電話していた。

「うん…。ごめんね…。うん…。は〜い。おやすみ…。ばいばい…。」

聞き慣れない甘えた声で菜摘が電話を終わらせる。

「彼氏さんですか…?」

「うん。同僚の女の子と泊まるって嘘いっちゃった…。」

普段のキリッとした感じが消え、甘えた雰囲気の菜摘にドキリとする孝宏。菜摘はそんな孝宏の様子に気づかず、缶ビールを飲む。

「あれ?先輩…。それは…?」

「そこから買っちゃった。さすがに飲まないとこんなのやってられないし。狩野君も飲んだら?」

「あっ、はい…。」

孝宏も小さな冷蔵庫からビールを買って取り出す。

「とりあえず災難だったけど、仕事はうまくいったから…乾杯!」

カンッと缶を合わせ、ビールを飲む菜摘。孝宏もそれに合わせて飲む。

「狩野君は彼女に電話しなくて大丈夫なの?」

「あっ、はい…。彼女、今、仕事忙しいみたいで…。あんまり俺から連絡取らないようにしてるんで…。」

孝宏がそう答えると、菜摘は納得したようにビールを飲む。

「さてと、今日は疲れたし、早く寝ようか。と言っても寝るとこどうしよう?狩野君のこと信頼したいけど、さすがに同じベッドはまずいし…。」

「あっ、俺、このソファでいいっすよ。先輩がベッド使ってください。」

「そう?ありがとう!一応、言っておくけど変なことしないでね?彼氏いるし、会社の人とそういう関係になりたくないから。なんかあったら警察に電話するから。」

先ほどの甘い雰囲気が一変し、厳しい表情になる菜摘。孝宏は頭を振って慌てて否定する。

「そんなことしませんよ。ただお願いが一つあって…。」

「何…?」

孝宏の言葉に睨むような視線を向けてくる菜摘。

「タバコ吸わせてもらってもいいですか?俺、これ飲んで一服したら寝ますんで。」

孝宏が菜摘の視線にドキドキしながら言うと、厳しかった視線が一転、優しい目になる。

「ああ…。ずっと我慢させてたね。気にせず吸っていいよ。おやすみなさい。」

「おやすみです。」

菜摘はベッドに潜り込む。
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