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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第32章 肝試し

「おいっ!?加藤っ…!荒川ぁ…!どこだっ!?たくっ!どこにいるんだよ?加藤も荒川も…。全然返事もしやがらねえ…。」
笹山が苛立ったように呟く。念のため、各階を確認しながら上へと上がる笹山と芙美。笹山が大声で叫ぶが誰からも返事が返って来ない。
「ね…ねぇ…?なんかおかしくない…?返事ないし…。全然音がしないけど…。」
さすがに不安になってきたのか、芙美はぴったり笹山に身を寄せる。ムニュっと当たる胸の感触に笹山は怒りを少し沈めて、安心させるように言う。
「どうせ、俺らがなかなか来ないからって、また夢中になってヤッてるんだろ。後は…1番上か…。」
笹山はそう言って階段の先を見つめる。次で階段は終わっている。ようやく最上階らしい。笹山と芙美は階段を上がる。そこは両開きの扉が並ぶ今までの客室とは違う空間になっていた。
「結婚式場かしら…?」
空間の様子から芙美はそう推測する。
「とりあえず入ってみるか…。」
笹山は手近な扉に手をかける。ギィ…と音を立てて開く扉。中の様子を伺いながら、2人は静かに中に入る。
中は今までと同じく暗闇に包まれている。しかし、天井の一部が崩れ落ち、結婚式場と思しき広い空間の前方だけほんのりと明るい。
2人がそちらに目を向け、大声を上げる。
「加藤っ!あ…荒川ぁっ…!?」
「きゃぁっ!?な…なんでっ!?」
2人は目の前の様子に我が目を疑う。
ステージの上には下半身丸出しで血を流す加藤と荒川がいたのだ。2人ともその状態で椅子に縛られていた。
「ふっ、芙美!待てっ!」
芙美が慌てて2人に駆け寄ろうとするが、笹山が芙美の腕を掴み、それを止める。
「で…でも…2人が…。それに…千恵美と望は…?」
オロオロする芙美に笹山は用心深く辺りを見回しながら言う。
「2人をあんな風にした奴が潜んでるかもしれない。迂闊に動くな…。」
さすがに緊張をはらんだ笹山の声に芙美も動きを止める。笹山の言う通り、誰かが2人をあんな風にしたのだ。幽霊には縛るなど出来ないこと。芙美が不安そうに辺りを見回す。
その時だった。
入り口近くでユラリと何かが動く。
月明かりの届かない隅の方で影が揺らめく。
「少しは頭が働くようだ…。倒れた奴を見て、慌てて駆け寄って油断したメガネの奴とは違うな…。」
暗く深い闇に沈むような声が影から発せられる。
笹山が苛立ったように呟く。念のため、各階を確認しながら上へと上がる笹山と芙美。笹山が大声で叫ぶが誰からも返事が返って来ない。
「ね…ねぇ…?なんかおかしくない…?返事ないし…。全然音がしないけど…。」
さすがに不安になってきたのか、芙美はぴったり笹山に身を寄せる。ムニュっと当たる胸の感触に笹山は怒りを少し沈めて、安心させるように言う。
「どうせ、俺らがなかなか来ないからって、また夢中になってヤッてるんだろ。後は…1番上か…。」
笹山はそう言って階段の先を見つめる。次で階段は終わっている。ようやく最上階らしい。笹山と芙美は階段を上がる。そこは両開きの扉が並ぶ今までの客室とは違う空間になっていた。
「結婚式場かしら…?」
空間の様子から芙美はそう推測する。
「とりあえず入ってみるか…。」
笹山は手近な扉に手をかける。ギィ…と音を立てて開く扉。中の様子を伺いながら、2人は静かに中に入る。
中は今までと同じく暗闇に包まれている。しかし、天井の一部が崩れ落ち、結婚式場と思しき広い空間の前方だけほんのりと明るい。
2人がそちらに目を向け、大声を上げる。
「加藤っ!あ…荒川ぁっ…!?」
「きゃぁっ!?な…なんでっ!?」
2人は目の前の様子に我が目を疑う。
ステージの上には下半身丸出しで血を流す加藤と荒川がいたのだ。2人ともその状態で椅子に縛られていた。
「ふっ、芙美!待てっ!」
芙美が慌てて2人に駆け寄ろうとするが、笹山が芙美の腕を掴み、それを止める。
「で…でも…2人が…。それに…千恵美と望は…?」
オロオロする芙美に笹山は用心深く辺りを見回しながら言う。
「2人をあんな風にした奴が潜んでるかもしれない。迂闊に動くな…。」
さすがに緊張をはらんだ笹山の声に芙美も動きを止める。笹山の言う通り、誰かが2人をあんな風にしたのだ。幽霊には縛るなど出来ないこと。芙美が不安そうに辺りを見回す。
その時だった。
入り口近くでユラリと何かが動く。
月明かりの届かない隅の方で影が揺らめく。
「少しは頭が働くようだ…。倒れた奴を見て、慌てて駆け寄って油断したメガネの奴とは違うな…。」
暗く深い闇に沈むような声が影から発せられる。

