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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第32章 肝試し
「あ…ァァ…。な…なんなのよ…これぇ…。」

芙美は涙を浮かべ、腰を抜かし、ペタリと床に座り込む。その下の床にじんわりと失禁したことで水たまりが形成されていく。

影は女がすぐには逃げれないと確信し、悠々と作業に取り掛かる。
這いつくばって痛みに悶える笹山を影はさらに蹴り転がす。

「ぐはぁっ!やめてくれ…。んボォっ!?あぐっ…!もう…やめてくれよ…。んばっ!?うググぅ…。かはっ…!」

笹山は何度も蹴り転がされ、ステージに運ばれる。そこで影は初めて手を伸ばし、笹山の折れた腕を掴み、無造作にステージに投げる。

「ぐはぁっ!?痛えぇ…!お願いだっ!もう…抵抗しないから…!グフぅっっ…!?あがぁ…あぁっ…。」

最後にもう1度影が笹山の股間を蹴り上げると、笹山はようやく意識を手放す。

影は意識を失った笹山を加藤と荒川が縛られた椅子に縛り付ける。その作業が終わり、後ろを振り返ると、ちょうど女が抜けた腰を引きずり、這って入口へ向かっていた。それでも、影は慌てずゆっくりとした歩調で芙美に向かい、すぐに追いつく。

芙美は必死に這いながら、自分の周りの暗闇が一層濃くなったことを感じる。恐る恐る顔を上げる。

「ヒイィッっ…!?」

這いつくばった自分を見下ろすように影が立っていた。暗闇に浮かぶさらに黒い影。しかし、その顔の部分にある目。虚無の光が宿るその目に芙美は吸い寄せられる。

「ゆ…許して…、な…何も…して…ないから…。帰るから…。ねっ…?そうだ…!あ…あと…2人いるの…!そ…その2人は…自由にしていいから…。わ…私は…帰らせて…?いいでしょ?」

影の目の光に怯え、これからどうなるかわからない恐怖もあり、芙美は必死に言い募る。

懇願。言い訳。そして裏切り。

自分だけは助かろうとする浅ましさ。
友人を生け贄に差そうとする出す狡猾さ。
その友人がどうなっているか考えない想像力のなさ。

影は芙美に対していくつもの罪を感じる。

「ならば…罰を与えねば…。」

影ががっちりと芙美の髪を掴み、引きずるようにしてチャペルの方へ向かう。

「ば…罰って…?何を…?ねえ…やめて…。嫌ぁ…!?どこへ行くのよぉ…!?離してぇ…!!や…、罰なんか…嫌よっ…!ねえ…聞いて…!千恵美も望も…あの2人に…罰を与えたらいいのよ…。ねっ…?だから…。」

バンッと芙美の前で扉が開け放たれた。
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