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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第32章 肝試し
「うっ…。ぐぅ…うぅん…。んぁ…?ヒィッ…!?キャぁっ…!!な…なにっ!?これ…なんでっ!?ち…千恵美っ!?芙美っ!?キャぁっ…!!」

ワンピースを破れた衝撃で望が目を覚まし、騒ぎ立てる。影はその様子を楽しげに見ながら、さらに望のワンピースをズタズタに破いていく。

「嫌あぁっ…!や…やめてぇ…!あ…荒川くんっ!?た…たすけて…!真司くんっ!?加藤くんはっ!?ふ…芙美っ!?ねぇ…あの…笹山くんはっ!?」

芙美が隣にいることに気がついた望が声をかけてくる。芙美は囚われた恐怖の中でも、スッと心が冷えるのを自覚する。

望は思わずと言った感じに笹山の下の名前を呼んだ。『やはりそうか…』と芙美は納得していた。以前から笹山が望にも手を出しているのではないかと、疑っていたのだ。いや、正確に言えば望が笹山に手を出していないかと…。

田舎から出てきた雰囲気を醸し出しながら、望は裏ではかなり計算高い。お山の大将ではあるが、力のある笹山に自ら近づき、関係を持っていたのだ。

「真司も…浩次も…郁人も…3人とも…隣の部屋で縛られてるわ…。」

芙美は敢えて3人を名前呼びする。望の片眉が跳ね上がる。

実は芙美も3人と関係を持っていた。そもそも荒川の童貞を奪ったのは芙美だ。それを望に払い下げてやったのだ。加藤とは千恵美のいないところで数回遊んだだけ。千恵美も荒川や笹山と遊んだことがあるはず。

結局、3人とも同じ穴のムジナである。芙美と千恵美はそれを自覚しているが、望は周りにバレていないと思い込んでいるのが、癪に触る。実際に気づいていないのは荒川だけである。

そんな2人の心情を面白そうに眺めでいた影が行動を再開する。

「俺の安寧を乱しておいて、まだ恋愛に現を抜かすか…。安心しろ…。お前達は全員ここで罰を受ける。そして…帰ることなど許されないのだから…。」

一瞬火花を散らしかけた望と芙美の目に再び恐怖が宿る。

「な…何を言って…!?ば…罰とか…嫌よっ…!か…帰してっ!け…警察が…来るわよっ!?」

「そ…そうよっ!私達が帰らなかったら…警察が…。」

「見つかればな…。まあ、見つかることはない…。いや…、あの男達3人の死体は邪魔だから…見つけてもらうか…。」

影が思い直したように呟く。

「し…死体…!?こ…殺したのっ!?」

「まだだが…いずれはな…。」
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