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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第36章 マッチングアプリ
男性は周りを確認するように言う。2人が知り合いに見つかる心配をしてるのだろう。

「いいよ〜。地元じゃないし。たまたまいるだけだから、ここ…。」

澪は手をひらひらさせながら答え、自ら向かいに見えるラブホへ歩み始める。優愛も隣に並ぶ。そもそも目的はこの近くの美味しいと評判のドーナツを食べに来ていただけで、2人の地元からは離れてる。さらにパーカーのフードを被っているので、パッと見で顔を確認するのは難しいのだ。

男性は慌てて2人の後についてくる。

「この部屋にするね〜。」

ホテルの中に入った澪は男性の返事を待たずに部屋を決めてしまう。優愛は黙ってエレベーターのボタンを押す。

「ああ、いいよ。」

澪が選んだ高めの部屋を確認しながら、男性がついてくる。

「君たちいつもこういうことしてるの?」

「しない…。」

「しない〜。」

エレベーターに乗り込んでも、優愛と澪は携帯をいじり、男性があれこれ話しかけてきても、生返事しかしない。多少の気まずさを男性が感じていても、構わず2人は目的の階に着くと、さっさと部屋に入る。

「ん…。」

部屋に入った途端、2人は同時に手を出す。男性は慌てて財布を取り出し、それぞれの手にお金を置く。

「ありがとう。着替える。」

2人はそのまま男性を残し、浴室に入る。脱衣所にはドアがないため、2人は浴室で着替える。

「ねぇ…。優愛…。見た?財布?」

澪はパーカーを脱ぎながら優愛に囁く。

「見た…。10万は入ってた…。」

「金持ちだったねぇ…。どうする?もうちょいサービスして金額上げる?」

目敏く男性の財布の中身を確認した2人は万札の多さに驚いていた。30前後の年齢と思われる男性は予想外に金を持っていた。それ故に澪はもっと出させられると考えたのだ。

「ん〜、私はいいかな…。知らない人とするの好きじゃないし…。3万で充分…。それより早く終わらせて遊び行きたい…。」

「そうだね〜。うん…。そうしよっ…。」

澪も多少の未練はあったものの、3万あれば欲しかったものが買える上、まだ余ることに満足する。こうして2人は手早く制服に着替え直すと、浴室を出る。

男性はスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイなどを外していた。

「シャワー浴びてくるよ…。」

2人の制服姿に興奮したような表情を一瞬浮かべた男性はそれを隠すように浴室に向かう。
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