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奸計〜罠に堕ちた女達〜
第37章 万引き2〜書店の罠〜

だが、雑誌を買うにはお金がかかる。どうしようかと悩みながら帰る優愛の目に古びた本屋が目に入った。その本屋を目にした優愛の頭の中で、いつか誰かが言っていた言葉が思い出される。
[あそこの本屋さ〜。店長がザルでさ、盗りたい放題らしいよ…?]
[嘘ぉ…!さすがにそれはないんじゃない?]
[でも、あそこ…いつもおじいちゃん1人で店番してるよね〜。意外と楽勝かも?]
クラスメイトの誰かが話していた。何気なしにそれを耳にした優愛だが、本屋を見てそれを思い出した。彼女達が話していたのが、今目の前にある本屋だったはず。
優愛に明確な意思があったわけではないが、優愛は気がつけば、目の前の本屋に入っていた。
「いらっしゃいませ…。」
ボソボソした声で店の人が言う。優愛はチラリとその店員を見る。
『おじいちゃんじゃないじゃない…。』
話と違ってカウンターの奥にいるのは30代と思しき男性だった。やる気がなさそうにカウンターの中で携帯をいじっている。
優愛はその店員を気にしながら目当ての雑誌を探す。平積みされた雑誌コーナーにそれがあった。それを手に取り品定めするようにしながら、優愛は店員の方を見た。店員は半ば優愛に背を向けるように座って携帯をいじっている。
『も…もしかして…。いけちゃう…?』
その瞬間、ムクムクと優愛には悪い考えがもたげてきた。優愛はさり気なく天井付近に視線を向けてみる。ゆっくり周りを確認してみると、見える範囲に防犯カメラは1台しかなかった。それも店の入口を監視するためのもののようで、店の中央辺りから入口に向かって設置してある。それしかない。
そして、今優愛がいる場所は角度から考えて写ることはなさそうだ。
さらに店の隅には死角を減らすために鏡が設置してあるが、肝心の店員がそちらを全く見てない。
優愛はゆっくり深呼吸する。自分の手元に目を移す。たまたま今日は大きめのバッグを持っている。雑誌も余裕で入る大きさ。チャック付きで締めれば中は見えないはず。
優愛は自分の心臓がバクバク鳴っているのを感じる。この瞬間、優愛は自分が悪いことをしているという気持ちはなく、ただ店員に見つからず、雑誌をバッグに入れられるかどうかだけを考えていた。
何度も周りを確認する。店員は何度か携帯から目を離し、顔を上げるが、優愛の方に大した意識を向けてこない。
[あそこの本屋さ〜。店長がザルでさ、盗りたい放題らしいよ…?]
[嘘ぉ…!さすがにそれはないんじゃない?]
[でも、あそこ…いつもおじいちゃん1人で店番してるよね〜。意外と楽勝かも?]
クラスメイトの誰かが話していた。何気なしにそれを耳にした優愛だが、本屋を見てそれを思い出した。彼女達が話していたのが、今目の前にある本屋だったはず。
優愛に明確な意思があったわけではないが、優愛は気がつけば、目の前の本屋に入っていた。
「いらっしゃいませ…。」
ボソボソした声で店の人が言う。優愛はチラリとその店員を見る。
『おじいちゃんじゃないじゃない…。』
話と違ってカウンターの奥にいるのは30代と思しき男性だった。やる気がなさそうにカウンターの中で携帯をいじっている。
優愛はその店員を気にしながら目当ての雑誌を探す。平積みされた雑誌コーナーにそれがあった。それを手に取り品定めするようにしながら、優愛は店員の方を見た。店員は半ば優愛に背を向けるように座って携帯をいじっている。
『も…もしかして…。いけちゃう…?』
その瞬間、ムクムクと優愛には悪い考えがもたげてきた。優愛はさり気なく天井付近に視線を向けてみる。ゆっくり周りを確認してみると、見える範囲に防犯カメラは1台しかなかった。それも店の入口を監視するためのもののようで、店の中央辺りから入口に向かって設置してある。それしかない。
そして、今優愛がいる場所は角度から考えて写ることはなさそうだ。
さらに店の隅には死角を減らすために鏡が設置してあるが、肝心の店員がそちらを全く見てない。
優愛はゆっくり深呼吸する。自分の手元に目を移す。たまたま今日は大きめのバッグを持っている。雑誌も余裕で入る大きさ。チャック付きで締めれば中は見えないはず。
優愛は自分の心臓がバクバク鳴っているのを感じる。この瞬間、優愛は自分が悪いことをしているという気持ちはなく、ただ店員に見つからず、雑誌をバッグに入れられるかどうかだけを考えていた。
何度も周りを確認する。店員は何度か携帯から目を離し、顔を上げるが、優愛の方に大した意識を向けてこない。

