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第38章 キャンプ場

「すみません…。ご迷惑おかけして…。あまり騒がしくしないようにしますから…。」

入れ替わりで、ショートの女性が頭を下げてくる。

「気にしないでいいですよ。初心者と一緒だと何かと気を使うでしょうけど。寝る時以外なら多少騒いでも、全然…。キャンプ好きとしては、楽しんでる様子を見ると、キャンプ好きになってくれたらと思いますし。」

「ありがとうございます。そう言ってくれると…。私の趣味に興味持ってくれたから…。連れて来たんで…。」

「がんばってキャンプの魅力伝えてください。」

「はい！」

「ねぇ〜、この後どうするの〜？」

茶髪の女性が苛立ったように声を上げる。黒髪ショートの女性は狩野に何度も頭を下げながら、戻っていく。

その後、狩野は１人のんびりと、３人はお酒を飲みながらの、ワイワイと騒がしく食事をしていく。徐々に辺りは暗くなり、焚き火とランプの灯りが照らすだけになる。

狩野はテント前のチェアに座り、のんびりと焚き火の世話をする。それだけで至福の時間になる。携帯は見ない。

１時間以上は経ったであろう。狩野は食後のコーヒーを愉しみ、それを飲みきった頃であった。近くにいる３人の声が一際大きくなってきていた。

遠目から見てもわかるほど、アルコール類の空缶が並んでいる。３人ともかなり酔っぱらっているようで、声に遠慮がなくなっている。

その内、ふらふらしながら、１人が狩野に近づいてくる。最初に調味料をねだってきた黒髪ロングの女性だ。

「お兄さ〜ん。お兄さんも一緒に…いかがです？」

甘えた声で両手にぶら下げたチューハイの缶をプラプラしながら、声をかけてきた。

上着を脱ぎ、Tシャツ１枚となった彼女の胸はその大きさを主張するように盛り上がっている。

さり気なく胸から姿勢を外し、しっかりと目を見て狩野は応える。

「ん〜、遠慮しとくよ…。知らない人間が混じっても楽しめないだろうし。１人でのんびりするために来てるしね。」

狩野は視線を固定したまま言う。女性は男性の視線に聡い。ここで狩野が女性の身体に視線を送れば確実にバレる。そうなると、後でトラブルになりかねない。

「え〜、お兄さんとなら〜きっと楽しいと思うけど〜？」

「こらっ！沙莉！邪魔しちゃダメ！」

上目遣いで誘惑するように口を尖らす女性の後ろから、慌てたように制止の声がかかる。