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調教物語~ある男の性癖~
第20章 転勤

翌朝、フラストレーションが溜まったまま
武郎は東京駅に向かった。

待ち合わせの喫茶店に入ると
すでに岩下女史は来ていて
奥の席を陣取っていた。


「遅いじゃない!
ここよ~!」

立ち上がって大きく手を振る岩下女史…

ったく…
デートの待ち合わせじゃないって言うんだ。


「どうもお待たせしました
遅れて申し訳ございません」

カチンとなりつつも
社会人としてのルールで
最敬礼で詫びを入れた。

「ほんとよ~!
女を待たせるなんて最低よ」

最低だと言葉では叱っても
表情はやけに晴れやかで
ウキウキとしている。

「はい、これ、あなたの切符よ」

そう言って新幹線のチケットを差し出した。

「交通費、経費で落とせるんですか?」

「当たり前じゃない
誰も好きこのんで大阪に行かないわよ」

ふう、やれやれだ…
自腹かと思って取り出した財布を
再びスーツの内ポケットにしまいこんだ。

それにしても…

「今日は爽やかなお召し物ですね」

お世辞ではなかった。

レディスーツの姿しか見たことがなかったので
パステルカラーのワンピースが目に眩しい。

「たまにはお洒落しないとね」

失礼しますと、
武郎は彼女の向かいに座ろうとした。

「ここへ座りなさいな」

隣同士、肩を並べて座りなさいと彼女は命じた。

「いや、でも…」

「お店が混んできたわ、
相席になるかもしれないから
並んだ方がお話しがしやすいじゃない」

特に話すことなどないんだがなと思いながら
武郎は彼女と並んで腰かけた。


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