この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
調教物語~ある男の性癖~
第23章 放し飼い
「咲希!
今どこにいる?
部屋か?自分の部屋か?」
咲希からの返事が返ってくる前に
武郎の手からスマホが取り上げられた。
スマホを奪ったのは大槻だった。
彼はなにも言わずに
スマホ画面の「終話タブ」をタップした。
「お、お前!なんの真似だ!」
武郎は怒り心頭で
大槻の手からスマホを取り返した。
「営業部の椎名さんですよね?
少しだけお時間を頂けませんか?」
丁寧な言葉だが、
無理矢理にでも時間を作れと
言葉には威圧感が満ちていた。
二人して休憩室の小部屋に入ると
大槻は小銭を取り出して缶コーヒーを購入した。
それを武郎が座ったテーブルの上に差し出した。
「話があるんだろう?
手短に頼むよ」
武郎はコーヒーなんか要らないとばかりに
テーブルの上を滑らせて
缶コーヒーを突き返した。
「単刀直入に申し上げます
咲希とはもう金輪際関わらないで下さい」
「はあ?お前、
自分の言っている意味がわかってるのか?」
武郎は敵意丸出しで大槻を睨んだ。
大槻も怯むことなく
「僕は咲希と結婚するつもりです」
武郎から目をそらすことなく
堂々と話した。
「結婚?
あははは…そりゃあめでたいな
お前は、あいつがどんな女か知ってるのか?」
「ええ、彼女がすべて話してくれました」
僕は彼女のすべてを受け入れるつもりです。
まばたきひとつもせずに
武郎の目を見つめる眼差しは
決意の硬さを物語っていた。