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調教物語~ある男の性癖~
第23章 放し飼い
お昼の休憩時間、
武郎は屋上で惣菜パンをかじりながら
ひたすら加菜恵を待った。
しかし、いくら待っても加菜恵は現れなかった。
『どういうことだ?』
スマホで連絡したが
コールが鳴り響くばかりで
一向に電話に出てくれない。
まもなくお昼の休憩時間が終わろうかという時に
総務部の部長が険しい顔つきで
武郎に近づいてきた。
「伊東くんは、いくら待っても来ませんよ」
「何だって?!」
「聞こえませんでしたか?
いくら待っても彼女は来ないと言ったんです」
ベンチに腰掛ける武郎を見下ろすように
目の前に仁王立ちする部長からは
凄まじいほどの圧が感じられた。
「それは、どういう意味なんでしょうか?」
負けじと武郎もベンチを立って
二人の男がにらみ合う形となった。
「君も鈍い男だねえ
彼女はすでに私のモノだと言っているんだよ」
そんなことはわかっていた。
先ほどの会話のニュアンスで
この男と加菜恵が男と女の関係というのが
プンプンと匂っていたからだ。
「あんたも物好きな男だな
加菜恵がどういう女か知りもしないで…」
「すべて彼女から聞きましたよ
私はね、すべてを承知の上で
彼女を妻にするつもりだ」
君に彼女を嫁にする覚悟はあるのかい?
部長にそう言われて
武郎は返す言葉が見つからなかった。