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調教物語~ある男の性癖~
第23章 放し飼い
「どうやら引き下がるしかないようですね」
「君が、ものわかりのいい男で安心したよ」
勝ち誇った部長の顔が無性に腹が立つ。
「どうでしょう…
最後に一言、
加菜恵にお別れの言葉を言いたいんですが」
武郎がそのように言うと
しばし思案した後、
「いいでしょう、武士の情けです」
そう言うと部長は
「加菜恵、こっちに来なさい」と
屋上の出入り口のドアに向かって叫んだ。
加菜恵の姿を見て
武郎は「えっ?」と声をあげた。
セックスアピールするような
派手めな化粧をせずに
どこにでもいるような
ダサい化粧をした女になっていたのだから
驚くのも当然だった。
『畜生!せっかく俺が
匂い立つような女に作り上げたのに
こんなダサい女になってしまって…』
その落胆が表情に出たのだろう
「ガッカリした?
案外とブスだなって思った?」
久しぶりに会ったというのに
挨拶も無しで加菜恵は冷たく武郎に言い放った。
「いや…落ち着いていて
それはそれでアリかもしれないな…」
久しぶりに顔を合わせたのだから
抱きすがってくるかと思ったのに
加菜恵は距離を取って武郎と対峙した。
「聞いたかと思うけど…
私、この人と結婚するの」
結婚か…
加菜恵本人からその言葉を告げられると
武郎は愕然とした。