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調教物語~ある男の性癖~
第24章 大阪の女

「岩下副支社長と椎名営業本部長ですね?」

小柄な男の問いかけに
「そうですけど」と肯定すると、

「私、大阪支社で
総務部の課長を務めさせていただいてます
栗林と申します
長距離移動お疲れさまでした
お迎えに参りました」

混雑の中で人目をはばからずに
栗林は丁寧に最敬礼で二人を出迎えた。

「ほらね、ラブホどころじゃないでしょ?」

栗林に聞かれないような小声で
岩下裕美子は武郎にそう言うと、
残念でしたとばかりに微笑んだ。

「栗林さんとおっしゃいましたか?
そんな気づかいは無用でしたのに」

社交辞令ではなく
武郎は本心で栗林を邪魔者扱いした。

栗林が二人を乗せたのは
社用車の軽四輪だった。
高身長の武郎と岩下さんだったので
体を屈ませるように後部座席に着席した。

「お疲れとは思いますが
午後2時から全社員を食堂に集めて
歓迎式典を執り行いますので
お二人にはぜひ着任のご挨拶をと考えております」

「挨拶…ですか?
参ったなあ…」

岩下さんは、それなりの場数をこなしているので
手慣れたものだろうけど
武郎は大勢の前で話すのが苦手だっただけに
車に揺られながら憂鬱な気分になった。




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