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調教物語~ある男の性癖~
第26章 奇跡の再会
「もう!たぁ~さんったら
いつまでもお尻を撫でてたら
しまいには怒るでぇ~」
あまりのしつこさに
ついに佐智子は立花の傍を離れた。
「お客さんも、おかわりどうですか?」
視線を合わそうともせずに
佐智子が武郎のグラスが
空になっていることに気を利かせてくれた。
「じゃあ…ウィスキーをロックでいただこうかな」
「かしこまりました」
そう言って佐智子はカウンターの中に潜り込んだ。
しばらくしてロックグラスが武郎の元に置かれた。
「あっ…気ぃつかんとごめんやで~」
そう言って佐智子は濡れたコースターを
新しいものに代えてくれた。
そして小声で
「そのコースター…
記念に持って帰ってね」と言った。
さりげなくコースターに目をやると
小さな文字で番号が手書きで書いてある。
『もしかして佐智子の連絡先か?』
彼女の意図を確かめようと視線を上げた。
その時、この店に来てから初めて
佐智子と目があった。
佐智子はなにも言わずに
小さく頷いた。
なるほど…やはり連絡先ってわけか…
武郎は営業部の課長どもに気づかれないように
ソッとコースターをスーツのポケットに入れた。
そしてわざとらしく腕時計に目をやると
「やあ、ずいぶんと長居してしまった
申し訳ない、お先に失礼するよ」と言って
ママさんに五万円を握らせた。
「それでこいつらに飲ませてやってくれ」
「あきまへんって…
これじゃあ貰いすぎやわ」と
ママさんは恐縮した。
もしお釣りが出るようなら
それはママさんへのチップだから取っておいてと
捨てゼリフを残して武郎は足早に店を飛び出した。