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調教物語~ある男の性癖~
第27章 岩下裕美子の過去

翌日、約束通りに新沼はノートを返しにやってきた。

「これ、サンキュー」

挨拶も抜きでノートを差し出す新沼に
カチンときながらも
ノートを受けとるとバッグに入れようとした。

大急ぎでバッグに入れようとしたものだから
手が滑ってしまってノートはバッグに入らずに床に落としてしまった。

『カッコ悪い…』

少し赤面しながらノートを拾い上げた。

その時、ノートに挟んであったのか
一通の封書がハラリと落ちた。

「何これ?」

封書を手に取ると
新沼が慌てて
「あっ!そ、それ…
今じゃなくて後で一人で読んでくれよ」と
狼狽していた。

何だろうと確かめたくなるのは
人間としての心理だ。

新沼が「後で読んでくれ」と言うのも聞かずに
裕美子は封書の中から便箋を取り出した。

便箋には拙い文字で
『お前が好きだ!付き合ってくれ!』と
告白文として恥ずかしいほどのストレートさと
心がこもっているのかと疑うような走り書きだった。

「これ…あなたが?」

便箋を新沼に突きつけると
男は顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。

「別に付き合ってもいいけど…
私、つまらない女よ」と付け加えた。


こんな中学生のようなやり取りで
二人の恋愛がスタートした。





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