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調教物語~ある男の性癖~
第28章 佐智子との逢瀬

「ごめん!待たせたね」

急いで佐智子に駆け寄ると
「ううん…私もさっき着いたところ」と
とびっきりの笑顔を見せてくれた。

『良かった…
東京で会ってた頃と何一つ変わっていない…』

「昨夜はごめんなさいね
あんまり仲良く昔話に花を咲かせると
贔屓のお客さんがヘソを曲げちゃうから…」

「ああ、水商売なんだから
それは仕方ないよ」

歩き始めると
東京での逢瀬を思い出すかのように
佐智子はさりげなく武郎の腕に
自分の腕を絡ませて甘えるように寄り添った。

「さて、どこか落ち着ける場所で
ゆっくりと話さないか?」

そのように言ったが
土地勘のない武郎は、
どこにどのような店や場所があるのか
まったく見当がつかない。

「私が選んでもいい?」

無論さと佐智子に任せると
タクシーをつかまえて「桜ノ宮まで」と
ドライバーに告げた。

「桜ノ宮って?」

「行けばわかるわよ」

佐智子にしてみれば
桜ノ宮から天満橋にかけて
大川沿いに公園があるので
そこのベンチで
ゆっくりと話そうと思っていたのだが
二人の関係を怪しんだタクシードライバーが
気を利かせて
桜ノ宮のラブホテル街で二人を降ろした。

「うふふ、運転手さんったら
私たちを不倫カップルだと思ったのかしら」

佐智子は可笑しそうにクスクス笑った。

「まあいいじゃないか
ソファでのんびり座ろうじゃないか」

近くのラブホテルの入り口に向かうと
佐智子は拒む事もなく後についてきた。

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