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調教物語~ある男の性癖~
第28章 佐智子との逢瀬
部屋に入ると
「ねえねえ、ビールを呑むでしょ?」と
佐智子は冷蔵庫から缶ビールを二本取り出した。
午前中から飲むビールはさほど旨くない。
一口飲むと武郎は缶をテーブルの上に置いた。
「君が東京のアノ店を辞めたと聞いて
ショックだったよ」
「もともと閑古鳥が鳴いていたし
ここ大阪の母が痴ほう症がひどくなってきたし
面倒見てあげないといけないしさぁ
水商売ならどこででも働けるわと
こっちに戻ってくることにしたの」
「で…こっちでいい男を見つけたかい?」
「私、東京でもそうだったけど
男運が悪いのよね
誰からもお誘いを受けないわ」
嘘に決まっている。
これほどの美貌とスタイルがあれば
言い寄る男は掃いて捨てるほどいるだろうに。
「なぁ~んてね、嘘よ
いろんな男からアプローチを受けるわ
ほら、あなたの会社の立花さんもその一人よ」
「あいつが君にホの字なのはわかったさ
君を見る目がいやらしかったからね」
「うふふ、そう、アプローチをかけてくる男は
みんな私とベッドインするのが目当て…
誰も真剣に愛してくれないわ
それに…」
続きを話しかけて佐智子は言い澱んだ。
「それに…なんだい?」
「私って古風なのよね…
この人って心に決めたら
その人に一途になっちゃうの」
「へえ~、君にそこまで思われるなんて
そいつは幸せ者だな」
「あなたよ」
「えっ?」
思いがけない答えに
武郎は驚いた。
それに追い討ちをかけるように
佐智子は武郎にキスをしてきた。