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調教物語~ある男の性癖~
第5章 M嬢 加菜恵
「すいません!
どうかここで働いていることは
会社に内密にしてください!」
加菜恵は数歩下がって
フローリングに額を着けて土下座した。
「はあ?会社?
なんの事ですか?
君は伊東加菜恵さんでしょ?
○○中学卒業生の…」
懐かしい中学校の名前を告げられて
加菜恵は昼間からのモヤモヤした気分に終止符を打った。
思い出した!
武郎!
確か椎名武郎という名前だった!
周りの皆からは略して「しいたけ」と呼ばれていた男…
「いやあ…その節は世話になったねえ…」
その言葉で加菜恵の脳裏に
当時の事が走馬灯のように流れた。
椎名武郎は中学三年生の一学期に
父親の仕事の関係で
東京から転校してきた。
父親が大阪で働くのは短期間だそうで
夏休み中には再び違う中学校へ転校するのだと
担任の先生が説明してくれた。
一学期だけの転校生…
そんな事情からか
武郎は進んで友人を作ろうとはしなかった。
周りの生徒もすぐに去っていく学友に
親しくしようという者はいなかった。
東京からの転校生ということで
武郎の言葉は標準語だった。
それが加菜恵に嫌悪感を抱かせた。
何かある度に
武郎に突っ掛かった。
直接ちょっかいを出すのが
加菜恵だけだったと言うだけで
クラスメート全員が武郎を煩わしく思っていた。