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調教物語~ある男の性癖~
第6章 女の嫉妬

「ご忠告、どうもありがとう」

咲希は、いたたまれなくなって
そそくさとお弁当を片付けると
挨拶もせずに加菜恵に背を向けて
走って階下へ降りていった。

『何なのよ!あの女!
私が誰と付き合おうと私の勝手じゃない!』

まだ午後の就業まで時間がある。
咲希は外のカフェでアイスラテでも飲んで
気持ちを落ち着かせようとした。

でも、苛立ちはついつい態度に出てしまう。

咲希はエレベーターのボタンを乱暴に叩いていた。

「おいおい、ボタンを叩き割るなよ」

背後からの聞き覚えのある声に
ハッとなって振り替えると
そこには、やはり椎名さんが
ニッコリしながら佇んでいた。

『見られた!?』

全身の血流が顔に集中するのがわかった。
漫画ではないけれど
まるで頭のてっぺんから湯気が出そうだった。

「社外に出るの?
ちょうど良かった僕も出るところだったんだ」

ポンという音がして
エレベーターの扉が開いた。

「さあ、行きましょう」

武郎は、そう言って咲希の背に軽く手を添えて
エレベーターへとエスコートしてくれた。

「何かむしゃくしゃする事があったんですか?」

二人っきりのエレベーター内で
武郎は優しく咲希を抱きしめた。


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