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私んちは淫乱家族ー続編<夏の終わりに>
第12章 旦那さまと奥さま

旦那さまは男の手を許せなかった。
痴漢を断じて許せなかった。

自分はやりたくてもできずに凝視するだけで、妄想だけして我慢しているというのに、この男は実行に移して生肌の感触を愉悦しているのだ。
しかも、自分の見ている目の前で、これ見よがしに痴漢行為を楽しんでいる。決して許せない。

旦那さまは怒りにまかせて女性の脚の裏側に手を回し、痴漢の手首をグイッとつかんで強く握りしめたのです。

痴漢は一瞬もがいて腕を解き放そうとしたのですが、華奢な体躯なのか力なく、じっとして動きません。
次の停車駅で駅員に引き渡してやろうと、旦那さまも手首を握り締めたまま動きません。

そしたら、なんとしたことでしょうか、痴漢の手がジワリと動き始めたのです。
旦那さまに手首をつかまれたまま、女性の太ももを股間に向けて撫で上げるのです。

女性は身動きもできません。
当然のことでしょう。満員電車の中で痴漢をされたら、恥じらいのあまり声も上げられないでしょう。


若い女心を先刻承知で男は図に乗って、電車が駅に着くまで痴漢を楽しむ覚悟なのです。
そのうち女性の口がわずかに開き、ああっと、うわずるような声が漏れます。

痴漢の手は、すでにスカートの中です。
もしかして、股間にたどり着いた指先が、パンティの中まで……?

いったい痴漢の男は、どんな顔をしているのか。どんな表情をして、指先を動かしているのか。もしかして、いやらしく口をゆがめて愉悦を楽しんでいるのだろうか……?

わずかに開いた女性の口から、喘ぎの声が吐息と重なる。
瞳はうっとり半眼で、快感を必死に耐えて悶えを抑えているようだ。

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