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Start Over Again
第10章 恋人というのは

お互いに想いあっていることがわかってからは、二人からはピンクのオーラが出ていた。そんなの見えないけれど。
しばらくして幸田さんは旦那さんが迎えに来て帰っちゃうし、二人の邪魔しちゃ悪いかと思った私も帰ろうとしたけど、須藤さんが「山之内も迎えに来てもらったほうがいい」と言うので、朔ちゃんに連絡を入れて三人で飲んでいた。
一瞬、このタイミングでの三人ってどうなんだ。と思ったが、意外や意外。今日の須藤さんは饒舌で適度に話を振ってくれるから気まずさなんてなくて。
職場のこと、家族のこと、幼い頃に飼ってたペットのことなどを話しながら穏やかな時間が流れていた。
このまま、朔ちゃんが迎えに来てくれたら帰るだけ。だったのに――、
「けい?」
名前を呼ばれてビクッとした。
見なくてもわかってしまう声の主の存在に体が固まる。
何で…あの人が…。
声をかけられたのに反応しない私を見て何かを悟ってくれたのか「あの、失礼ですが…?」と須藤さんが対応してくれる。
「あ~、俺は~けいの元カレですね~」
東だ。連れっぽい男性が「おい、何絡んでんだ」と言っているのが聞こえる。
「ああ、そうでしたか。それで、何かご用ですか?」
「ご用は~あります~。なぁけい~俺とやり直そ~」
「はい?」と声を低くした須藤さんなんて気にせずに唐突に私の頭を撫でてくる東。
や…やだ……朔ちゃん…!
気持ち悪くて目をぎゅっとつむると
「ちょっと!」と須藤さんの声がして頭から手が離れた。
薄目で見てみると、東の手を掴んだ須藤さんの姿。
私と東の間に入ってくれている須藤さんを見て少しホッとする。
そのタイミングで橋本くんも須藤さんの隣に移動してくれて心強い。
「何だあんた。勝手に触んなよ」
「同じ言葉を、そのままあなたにお返しします。女性に勝手に触れるのはよくないですよ」
「あ~? 俺はいいだろ、元カレなんだし」
「元は元です。今は他人ですよね」
「あぁ? 体なんて触りまくってたんだから別にいーだろ」
「よくないです。彼女は嫌がってますよ」

