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Start Over Again
第2章 再会
あの日は確か……クリスマスも終わった年末頃、だったと思う。
世間より数日遅れのクリスマスパーティーをするという森川家に招待され、遠慮なく美味しいものをたくさん食べさせてもらい、お酒も少し飲んでほろ酔い気分になった私を見て『泊まっていきなさい』と由美子さんは言ってくれたけど、翌日も朝から仕事だった私はそれを断った。
本当に大丈夫です。
そう言っても信じてもらえなくて、めずらしく飲んでなかった咲子が車で家まで送ってくれることになったが、そのとき『僕も行く』となぜか朔ちゃんもついてきた。
朔ちゃんが助手席に座るかなと思い後部座席に乗り込み待っていると、遅れてやってきた朔ちゃんは迷うことなく私の隣に座った。
きっと酔ってなかったら、助手席に座らないの? と聞いていたと思うが、そのときは眠くてうとうとしていたから、そこまで気にする余裕がなかった。
車が走り出して数分経った頃、気づくと車はコンビニの駐車場に停まっていた。
隣にいる朔ちゃんに『咲子は?』とたずねると『買い物してくるって』と答えた朔ちゃんに『そっかぁ~…』と言ってヘラヘラ笑うと、右手が何かに包まれたような感覚があった。
ん? と視線を落とすと、朔ちゃんが私の右手を握っていた。
私が酔ってるから心配して握ってくれてるのかな? なんて思って何も言わずにそのままでいると、上から包むように握っていただけの手がゆるゆると動き出し、指のあいだひとつひとつに朔ちゃんの指が絡まっていく。
俗にいう、【恋人つなぎ】というやつだ。
これは……だめなやつ…。
酔っている頭でもいくらか冷静で、手を離してもらおうと視線を上げて朔ちゃんへ目を向けると、朔ちゃんも私を見た。
目と目が合った瞬間、少し距離を空けて座っていた朔ちゃんがグッと体を寄せてきた。
ドアのほうに押しやられて『朔ちゃん?』と名前を呼んだとき、唇と唇がぶつかった。
キス、とは言えない。
文字通り…ぶつかっただけ。
でも、心底驚くほどの威力。
だってーー…朔ちゃんはまだ、14歳。
24歳の私からしたらまだまだ子どもで、こんなことをするには早い。
ましてや親友の弟であり、私にとっても弟のような存在だ。
朔ちゃんも、私を姉のように慕ってくれていると思っていただけに、ショックという気持ちが大きい。