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Start Over Again
第2章 再会
離れようとして、空いている左手で朔ちゃんの左肩を掴んで何度も押すけど、ビクともしない。
右手は握られたままだし背中側には頑丈なドアがあって身動きがとれない。動くなら前しかないが、その前には朔ちゃんがいる。
どうしようかと迷っていると、唇が動き出した。
まるでついばむように角度を変えながら舐められたり吸われたり、いよいよ『ぶつかっただけ』とは言えなくなってきた。
体を動かせないなら、言葉でなんとかするしかない。
そう考えて『朔ちゃん、やめて』と言おうと口をわずかに開くと、ぬるりと温かくて湿ったものが口内へ侵入してきた。
……朔ちゃんの舌だ。
しまった、と思ったときにはもう遅い。
初めこそ私の口内を探るように動いていたそれは、徐々に緩急をつけていく。
どうしたら、やめてくれるんだろう。
14歳の子に力でかなわないとは思わなかった。
こんな風に無理やりキスをしてくる朔ちゃんに悲しくなり、お酒のせいですでにゆるんでいた涙腺があっけなく崩壊した。
ポロポロと頬をつたっていく涙に気づいた朔ちゃんはすぐに動きを止めて唇を離してくれた。
「……ごめん。無理やりして……ごめん」
無理やりしてしまったこと、これは悪いことだと理解はしているようで、苦しげに眉を寄せている。
「僕…僕、けいちゃんのことが好き。ずっと好きなのに……他の男になんか渡したくないっ。誰とも付き合わないで!!」
激しい感情をあらわにする朔ちゃんに戸惑う。
これは……冗談ではないんだな。
そう思って、まっすぐ朔ちゃんを見つめる。
「朔ちゃん、好きでいてくれてありがとう。好きって言ってくれてありがとう。……でも、朔ちゃんの気持ちには応えられない。ごめんね」
丁寧に口にしていく。
だけど、朔ちゃんは納得いかないようで泣きそうな顔で私の腕を掴む。
「なんで!? 僕が……未成年だからだめなの!??」
「…うん。それがまず一番の問題だね」
「じゃあ…僕が成人したら、付き合ってくれる!?」
「いや…そういう問題でもなくて……。むかしから朔ちゃんのことは弟のように思ってるし……」
どうやったら諦めてくれるのか、だけどなるべく傷つけたくなくて、なんと言ったらいいのかわからないでいると、朔ちゃんはうつむいて黙り込んでしまった。