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Start Over Again
第2章 再会
「あっ、でも、キスのこと怒ってないよ。朔ちゃんのこと、きらいにもなってないからね?」
傷つけてしまったかな、泣いちゃわないかな、と焦ってそう言うと、朔ちゃんは上目遣いで私を見た。
「ほんと? キスしたの…本当に、怒ってない?」
ぐっ……!!
男の上目遣いにめっぽう弱い私。
「う、うん。怒ってないよ」
冷静を装い、そう答えると
「本当に、僕のこと……きらいになってない?」
うるうるした瞳+上目遣いのダブルパンチ!
「も、もちろん。きらいになってないよ」
内心、息切れ動悸で、はぁはぁしているけれど。
「よかったぁ……」
力が抜けたように小さくつぶやいて朔ちゃんは再びうつむくと、目のあたりをこぶしで強くこすり始めた。
「ちょっ、そんなこすっちゃ…!!」
だめだよ、と言葉にするより先に朔ちゃんの右手首を掴んでしまってハッとする。
「あ…ごめん!」
驚いた顔で私を見つめる朔ちゃんに謝って掴んだ手を離し
「こすっちゃだめだよ。って言おうとしたのになんかとっさに掴んじゃって…」
そう言うと、朔ちゃんの顔がみるみるゆるんでいく。
「ねぇ、けいちゃん。聞いてもいい?」
嬉しそうに微笑みながら首を少しかたむける朔ちゃんがかわいい。
「僕のキス、どうだった?」
「どっ…!?」
予想外の問いかけに胸がどくんと鳴る。
「僕…初めてなんだ、キスしたの。けいちゃんは…初めてじゃないかもだけど……。それでも、けいちゃんのこと気持ちよくさせたいって思って頑張ったんだけど…下手でごめんね」
シュン…とした朔ちゃんを見て胸の奥がきゅうぅぅと縮まった気がした。
何を言っても間違いのような気がして口をつぐむ。
「…でもね、それは今だけの話で。きっと、僕も大人になれば上手くなると思うんだ」
え? と思いながらも、目を少し細めて熱い視線を向けてくる朔ちゃんから目が離せない。
「だから、僕が20歳になったら……もう一度、キスしてくれない?」
自然と手を伸ばし、愛おしげに指先で私の唇に触れる。
「僕、諦めないから。けいちゃん、覚悟しててね…?」
不敵に笑う朔ちゃんは男の顔をしていて。
まだまだ子どもだと信じて疑わなかった朔ちゃんの豹変ぶりに頭がクラクラして――……
私は、気を失った。