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Start Over Again
第2章 再会
翌日、自分の家の布団で目が覚めた私はすぐにスマホを確認した。
咲子から【意外と酔ってたんだね~けいの家に着いてから無理やりウコン飲ませたから二日酔いにはなってないはずだけど。仕事がんば!】と届いていたラインを見て、ん? と疑問に思う。
もしかして……気を失ったのではなく、お酒のせいでつぶれた? もし気を失ったのならさすがの咲子も何か言ってくるはず…。
それから数日間はずっとモヤモヤしていた。
仕事中もヒマな時間ができると朔ちゃんの顔が浮かび、集中できないこともしばしば。
その状態が二週間ほど続き、
このままではだめだ。直接聞かないにしても顔を合わせれば朔ちゃんの態度で何かしらはっきりするかもしれない!
そう考えた私は後日、森川家へ。
久々に顔を合わせた朔ちゃんは、さわやかに笑って「いらっしゃい。けいちゃん、あまり飲みすぎないようにね」とだけ言って自室へ行ってしまった。
内心ドキドキしてただけに ”いつもどおりのかわいい朔ちゃん” に肩すかしを食らったような気分になった私は、それ以上そのことを考えることを放棄。
あのキスはきっと私の中に眠る ”ついついやましいことを考えちゃうもう一人の私" が見せた、”都合のいい夢” だったのだ。と思い込むことにした。
だけどーー……
6年ぶりに再会した朔ちゃんはあの日と同じ顔をしていて。
雨の日が嫌いなのは私のせいだと言う。
「…私のせい?」
雨の日に朔ちゃんに何かしたっけ? と考えていると
「あの日も、最後に会った日も、雨の日だったから…」
朔ちゃんの口から【あの日】という言葉が出てドキッとする。
今……あの日って言った?
あの日って、あの日のこと?
脳内があの日…あの日…で溢れすぎて、何も言えない。
「あの日のこと、忘れちゃいましたか?」
きれいな二重の瞳にまっすぐ見つめられて反射的に目をそらす。
「どっ……どの日のこと?」
え、待って。ちょっと待って。
やっぱ夢じゃなかったってこと?!
夢じゃないなら、やっぱ気を失ったの?
いやいやいやいや、キスされて気を失うって…
めちゃくちゃ恥ずかしくない??!
こんなに動揺するのは久しぶりだ。
「一度、中断しましょう。移動しますね」
そう言って、朔ちゃんはシフトレバーを動かしてアクセルを踏んだ。