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Start Over Again
第2章 再会

沈黙が続くなか、近くのパーキングに到着した。
うつむいたままの私の横で朔ちゃんはスマホを取り出して耳にあてる。

「…もしもし、森川です。健介さんすみません。その、道に迷ってしまって…そちらへ到着するの遅れます。はい、はい。本当にすみません、お願いします。はい、失礼します」

健介くんに電話してる…
遅れるってことは、ここにしばらくいるってことだろうか。
困ったな…と思っていると、ギシッと座席がきしむ音がした。

「恵香さん、こっち見て」

ゆっくり首をひねって目を向けると、朔ちゃんは安堵したように軽く笑う。

「もう一度聞きます。あの日のこと、覚えてますか?」

「私が……酔った日のこと?」

「そうです。酔った恵香さんを姉ちゃんと車で送って、コンビニの駐車場で……キスしたあの日のこと」

キス。その言葉にぶわりと顔が熱くなる。

「夢じゃ…な……」

ぽつりとつぶやくと朔ちゃんは首をかしげた。

「朔ちゃんと……その、キスしたの、ずっと夢だと思い込んでたの…」

「えっ!??」

朔ちゃんが驚いた声をあげてこちらへ身を乗りだす。

「なんで!? けいちゃん酔ってはいたけど、しっかり会話してくれてたと思うけど…。え、え、ちょっと待って……。んーー………夢だと思ってたとしても、キスしたことは覚えてるんだよね。じゃあ、話した内容は?」

よほど驚いたのか「恵香さん」呼びが「けいちゃん」になってるし、敬語じゃなくなっている。

焦ってる朔ちゃんレアだなぁと思いつつ
「お、覚えています」と正直に白状すると
「はぁ~~…よかった……」
とボスッと音を立てて座席に背中をあずけ、両手で顔を覆う朔ちゃん。

しばらくそのまま朔ちゃんを黙って見ていた。
泣いては…いない、と思う。

むかしの私ならすぐに頭を撫でてあげたし、正直…今も撫でてあげたい。
でも今は撫でちゃだめな気がする…我慢しなくちゃ。
と自分の気持ちを抑えて、微妙に伸ばした手をそっと元の位置に戻す。

しばらくして、やっと顔から手を離してこちらへ顔を向けた朔ちゃんがじろりと見てきた。

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