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Start Over Again
第3章 契約書

先に部屋に入っていた咲子はリビングのソファーに座っていて、遅れてやってきた朔ちゃんと私を見て口角を上げた。

そんな咲子を見て朔ちゃんはひとまず私をダイニングテーブル横の椅子に座らせ、ズンズンと勢いよく咲子へ近づく。

「姉さんっ!」と声を荒らげる朔ちゃんに
「なによ?」と普段どおりの咲子。

その態度に頭にきたのか
「どういうことか説明してよ!」
とさらに詰め寄る朔ちゃん。

えっ、えっ、喧嘩しちゃうの?!

姉弟喧嘩が始まるのかと慌てて健介くんへ顔を向けると「あ、お姉さん。荷物の確認してもらえますか?」と仕事モード。

「え、いやでもっ」と言うと
「俺、早く帰りたいんです。萌香も待ってるし。お姉さんが荷物の確認をしてここにサインくれれば帰れるんです」
と返され、萌香の現状を思い出す。

そうだった、萌香は今頃一人で引っ越しの後片付けをしてるんだ。健介くんが早く帰れば、萌香の負担も減るよな……。

ややシスコン気味な私は瞬時に気持ちを切り替え、
「わかりました。確認します」と返事をして
「部屋はこちらです」と案内してくれる健介くんについて行く。

リビングから見て左側が私の部屋だった。
10畳くらいの広さの部屋にいい感じに配置された机や椅子、部屋の隅に置かれたダンボールたちをひとつひとつ見て回って破損や紛失がないことを確認する。

ドアを開けて部屋の外で待っててくれた健介くんからバインダーファイルを受け取り書類にサインした。

「これで大丈夫?」と聞くと
「はい、大丈夫です! 本日はありがとうございました」と健介くんが帽子を取って会釈した。

「こちらこそ、ありがとう。本当に助かりました」とつられて会釈して
「それと…萌香のこと、どうぞよろしくお願いします」と妹の幸せを願いながら頭をさげた。

「お、お姉さん、顔をあげてください! 萌香さんのことは任せてください、幸せにしますんで!」
と慌てながらも、幸せにします。と言ってくれた健介くんに安堵して顔をあげる。

「それでは、俺はそろそろ失礼しますね」

そう言って健介くんはリビングにいる咲子と朔ちゃんにもきちんと挨拶してから玄関へ向かう。

…うん。健介くん、ちゃんとしてるわ。
今まで勝手にチャラい彼氏だなぁ…と思っててごめん!!

心の中で謝りながら健介くんを見送った。

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