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Start Over Again
第5章 飲み会

沈黙が流れる。
須藤さんは私の返答待ちなのか、無表情のままそれ以上何も言わないし、間を繋ぐのが得意なはずの橋本くんでさえ黙ったまま須藤さんと私を交互に見て成り行きを見守っている。
デートって言った?
デートって…男女が日時を決めて会うこと。と認識しているんだけど……
え、もしかして、この世には私がまだ知らない別のデートというものが存在したりする!?
「えっと、聞き間違えてたらすみませんが、デートって言いましたか?」
「言った」
「須藤さんと私が休みの日に会う=デートって認識で合ってますか?」
「ああ、合ってる」
あ、合ってたーー!!!
「な…なぜ、私なんです?」
いちばんの謎はそこだ。
須藤さん無表情だけど、俗に言う ”イケメン” という部類に入るだろうし、引く手あまたなのでは。
「興味があるから」
興味、とは? という顔をする私を見て須藤さんが口角を上げた。めずらしい。
「山之内がどんな人なのか興味がある。だからデートしてほしい」
どストレートにくるなぁ。と思いつつ、気になることが。
「仮にデートするとして、それは二人で…ですか?」
須藤さんと二人でどこかへ出かけるなんて想像できなくて思わず口にすると、ずっと黙っていた橋本くんが「え~ずるい!」と口を挟んできた。
「俺もまぜてくださいよ、デート」
橋本くん? 何を言ってんの?
「山之内も須藤さんも口下手だから、二人きりだとそのデート沈黙まつりになりません? そんなんじゃ須藤さん、山之内のことわからないだろうし…ってことで、ダブルデートにしましょうよ、ダブルデート!」
確かに、須藤さんと二人きりだと何を話せばいいかわからずに黙ってしまう。そんな未来が視えるな…。
須藤さんも同じ思考に至ったのか「確かに…」とつぶやいている。
「ダブルデートしてみて、お互いに次は二人で会いたいと思うならそのとき改めて約束したらいいんですよ。どうです? 須藤さん」
「…そうだな。山之内が良ければ、ダブルデートでお願いしたい。どうかな?」
須藤さんが私を見て首をかしげる。
これって…断れない流れになってない?
橋本くんのダブルデートという代案は助かったけど、それによって現実味が増したというか…。

