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Start Over Again
第7章 ダブルデート
そしてグランピング当日。
車を出してくれた橋本くんの運転でグランピング施設に到着した私たちは、利用する予定の部屋に入って「うわ~~!!」と感嘆の声を出した。
いや、実際は橋本くんと私の二人だけ。
咲子は「ふ~ん」とこんな感じなのね感ですぐにソファーへ座り、須藤さんは無言でキッチンへ向かって冷蔵庫を開けている。
20畳以上はありそうな広いリビングに対面式キッチン、もちろん浴室とトイレは別、ダブルベッドが置かれた寝室が二つ…もし泊まるにしても困らない部屋の仕様を見てグランピングって良い! とまだ何も始まっていないのにはしゃぐ橋本くんと私。
「…本日は当施設をご利用いただき、ありがとうございます。日帰りのご予定とのことで、お昼はバーベキューの食材を準備しております。下準備から焼き作業まで私どもが担当することもできますが、いかがなさいますか?」
受付から案内してくれた従業員の方の言葉に橋本くんが「あ、自分たちでやります!」と答えると、従業員の方はにこっと笑い、器具の使い方や注意事項などを簡単に説明してくれたあと「お楽しみください。では失礼いたします」と部屋を出ていった。
本当に何から何までやってくれるんだ、すごいな。と感心していると「さっそく準備しますか~」と言いながら橋本くんがキッチンに向かう。
あとをついていくと振り返った橋本くんが「女子はゆっくりしといて」とキッチンへの侵入を許さない。
「でも…」と須藤さんに視線を向けると
「橋本と俺でやるから」と言われ
「…お願いします」としぶしぶソファーでくつろぐ咲子の隣に座った。
そんな私を見てふふっと笑いながら咲子が男性陣へ「ありがとうございます~」とお礼を言う。
「あーぜんぜん気にしないで」と笑って手を洗う橋本くんと冷蔵庫から食材を出している須藤さんを見ながら、ゆっくりって言われても…と考えていると、咲子が指で私の頬をつついてきた。
「こういうときは甘えるもんよ。手伝ってと言われたら手伝えばいいの。何より、男は女にいいとこを見せたい生き物だし」
「うーん…そういうもん?」
「そういうもん。でも、そんな顔じゃだめ。にこにこしてなさい」
頬をぐりぐりしてくる咲子ににこっとすると「そうそう」と笑う。こういうのをわかってるから咲子はモテるんだろうな…と思いながら頬をさすった。