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Start Over Again
第7章 ダブルデート
それからは世間話やたわいもない話で盛り上がっていた。
こういう席に橋本くんや咲子といった場を盛り上げるのが得意な人たちがいてくれることが助かるし、ありがたい。
そんな風に考えていると「そろそろ席替えしますか~」と咲子が合コンみたいなことを言いながら立ち上がり、須藤さんに近寄っていく。
「須藤さん、替わってください」
「…どうぞ」
素直に立ち上がって席を譲り、須藤さんが私の隣に座る。
…あ、そうだった。とダブルデートなことを思い出していると、咲子と橋本くんがスマホゲームについて会話し始めるのが聞こえてきた。
うーん…どうするかな。
自分から話しかけるべきか、話しかけられるのを待つべきか迷っていると、不意に須藤さんが顔を覗いてきた。
「山之内」
「は、はい!」
「聞きたいことがあるんだけど」
「何ですか?」
「恋人はいないって聞いてるけど、気になる人や好きな人っているのか?」
えっと…こんなことを聞いてくるってことは…?
と思いながらも、自然と朔ちゃんの顔が浮かぶ。
「…気になる人はいます」
「そうか。その気になる人ってどんな人?」
「どんな…」
朔ちゃんのことを考えて、ふっと笑みがこぼれる。
「とにかく、可愛い人ですね」
「可愛いか…。どんな風に気になってる?」
「どんな風に…そうですね……目が離せなくて、なんだかんだ憎めないとこですかね…」
自分の気持ちを素直に話すのってちょっと恥ずかしいな…。
穏やかに話しながらも胸がドキドキするのを感じていた。
「そうか…。話してくれてありがとう」
そう言って口角を上げる須藤さんは私を見ていなくて。
伏せた目も表情も他の誰かのことを考えているように見える。
もしかして……
「いえ。あの…間違えてたらすみませんが、もしかして…誰か気になる人がいますか?」
咲子と橋本くんに聞こえないようにコソコソとたずねてみると須藤さんは目を見開く。
おやおや。これまた、めずらしい反応。
「…どうして、そう思う?」
「えっと…須藤さんの表情でなんとなく、そう思ったんですけど…」
思ったことをそのまま口にすると、須藤さんがふっ…と微笑んだ。