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Start Over Again
第7章 ダブルデート
「須藤さんの反応見て楽しむなんてひどいよ」
須藤さんの味方だという立ち位置でそう口にすると、笑いすぎてはぁーはぁーと肩を揺らしながら咲子が目を細める。
「ふ~ん、そんなこと言うんだ? けいだって須藤さんに頭触られて見とれてたくせに」
うっ…!
「どうせ、須藤さんのこんな顔見たことない~何で頭触るのかわかんないけどしばらく堪能しとこ~とか多少の下心はあったんじゃない?」
ぐっ…全部ではないけど、少し当たってる…。
「…ソンナコト、ナイヨ」
「へぇ~?」
「…というか、橋本くんと急に仲良くなってるじゃん。何があったの?」
無理やり話題を変えた私ににやにやしながら「んーちょっとねー」と言葉を濁す。
「…しんちゃんとはまた遊びたいな。と思うくらいには意気投合したかな」
ほう…友達を作ることに消極的な咲子がめずらしい。
「そっか。それは良かったね」
咲子と橋本くんが仲良くなるのは親友としても同期としても嬉しくて頬がゆるむ。
「うん。…って、なんだその顔は~!!」
ヘラヘラする私の口に肉を突っ込み、自分も肉をバクっと口に含む咲子。
照れた咲子も久しぶりに見たな~と思いながら突っ込まれた肉を味わった。
なかなか戻ってこない二人をボディーガードの郷田さんが探しに行き、数分ほどで連れて戻ってきた。
見つけるの早いな。と郷田さんの能力に感心していてすぐに気づかなかったが、橋本くんと須藤さんの様子がどことなくおかしい気がした。
どこが? と聞かれると説明しにくいが、二人のあいだに漂う空気感がいつもと違う気がして、なんとなくギクシャクしているような?
あんな茶番劇をしたから須藤さんから叱られたのかな? なんて考えつつも得に言及せずに「お帰りなさい。そろそろデザート食べませんか?」と声をかけると二人とも黙ってうなずいて椅子に座った。
「じゃ用意してきます」
デザートくらいは私が用意しようと思いながら部屋へ向かうと「お手伝いします」と郷田さんがついてきた。
「ありがとうございます。助かります」と言ってキッチンへ向かい、ポットでお湯を沸かす。
咲子は紅茶、橋本くんは砂糖を少し入れたコーヒー、須藤さんはブラックコーヒーとそれぞれの好みに合わせて飲み物を準備していると、郷田さんがふふっと微笑んだ。