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Start Over Again
第7章 ダブルデート
この言葉だけ聞けば、まるで告白シーンだなぁ。なんて思いながら「私で良ければ…」と言うと、ガタッとテーブルに膝をぶつけながら須藤さんが立ち上がる。
「だ、大丈夫ですか…?」と膝の心配する私をよそに、近寄ってきた須藤さんが隣に座り、私の手をギュッと掴む。
「ありがとう! そんな山之内も好きだっ!」
パァァと表情を明るくして、事情を知らない人が聞いたら誤解しそうな言葉を口にする須藤さん。
真顔が通常モードな人をここまで感情豊かにさせるなんて、気になる人って一体どんな人なんだ…。
「…あ、ありがとうございます…?」
好きだ! と言われて別に嫌な気はしないので、とりあえずお礼を言ってみる。
するとハッとした様子で須藤さんが手を離した。
「す、すまん! 感情が昂ってしまって…」
「いえ、大丈夫ですよ。須藤さんをそんな風にさせてしまうお相手がどんな人なのか気になりますが…」
「そうか…」と照れたように須藤さんが目を伏せる。
「…そいつは、こんな俺にも気後れせずに話しかけてくれて…」
その子じゃなくて、そいつ呼び!? と思いながらも黙って話の続きを待つ。
「いつも笑ってて…気づいたら目で追ってて、でも何で見てしまうのかよくわからなくて、そいつといっしょにいる人間のことも目で追うようになってしまって……正直、混乱してたんだ」
須藤さんも人並みに混乱するんだ…。
「俺はそいつのこと好きなのか、ただ自分と正反対なそいつのことが羨ましく思えて目で追ってるだけなのか確かめたくなった。そして目で追ってるうちに、そいつが笑いかけている相手がそいつの好きな人なのかと思うようになって、不思議な感覚に陥った…」
「…ヤキモチですか?」
口を挟むと須藤さんはうなずく。
「ああ…そいつが好きなのはどんな人間なのか知りたくなった。周りの評判ではいい子だと聞いていたが、実際に近くで見て確認したくなって……デートに誘った」
…ん?
「実際に話してみると、真面目で控えめではあるけどいい子で…この子が相手なら俺はかなわないな…と思ったんだ」
優しい目線を向けてくる須藤さんを見て、脳内を駆け巡る線と線が繋がっていく。