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Start Over Again
第8章 悪夢 と デート

「……ごめん。私…自分のことばかりで…朔ちゃんのことちゃんと考えてなかった」

夢だと思い込むようにして、向き合おうとせずに逃げた。

「離れてしまえば…朔ちゃんはまだ14歳なんだし、きっとこれから出会いも増えていって自然と私のことなんて忘れちゃうだろうって…」

でも、もしかしたら…。

「逃げたんだよ? ずるいって怒ったり責めてもいいのに……何で? 何で…まだ好きでいてくれるの……」

あのまま、そばにいたら…。


もしも、な話をし始めたらキリがない。

だけど… ”あの日” をきっかけに朔ちゃんを見る目が変わってしまったのは確かで、それを認めたくなくて気づきたくなくて、必死に心から気をそらした。

そうすれば…、楽になったから。


涙が出そうになってグッとこらえるように唇を噛むと、朔ちゃんが「あ…だめだよ。噛むなら僕の指を噛んで」と言って唇のあいだに指を押し込んできた。
驚いて反射的に噛むのをやめると、ホッとしたように微笑む。

「…もちろん、最初は悲しかったし腹が立ったよ。でも日が経っていくにつれて、けいちゃんの気持ちを考えずに一方的に気持ちを押しつけたのは僕のほうだな…って猛反省して。だからどうしても会って謝りたかったんだけど、姉ちゃんに止められて…」

「…?」

咲子の名前が出てきたことに目を見開くと、朔ちゃんは眉を下げた。

「けいちゃんの連絡先を知らなかったから姉ちゃんに聞こうとしたんだけど、そのときに『まだ中学生でガキなあんたが、けいのこと支えられると思ってんの? フンッ、うぬぼれんなよ、クソガキがっ!!』的なことを言われて…考えを改めたんだ」

…そんなこと言ったの、咲子。

「現実的なことを考えると、僕たちは10歳離れてて。僕は気にならないけど、倫理的にけいちゃんは気にするだろうな…って。それならやっぱり僕が成人するまでは相手にすらしてくれないだろうから、ずっと会えないのはめちゃくちゃツラいけど、20歳になるまで会うのは我慢しようって思ったんだ」

確かに、あれからすぐ会ってたとしても私は話をすることすらも拒絶したと思う。

今だから、朔ちゃんが未成年ではない。という事実があるから、こうやっていっしょに生活することができている。

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