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Start Over Again
第9章 過去 と 告白

与えられていた愛が、それを受け止めていた時間が、すべて間違いだったと気づいたときのあの喪失感を忘れられない。

「あ…愛してるって言ってくれたのに私だけじゃなくて…何度も責められて叩かれて…。何でこんな人と出会ってしまったんだろう、すぐに気づけなかったんだろうって…ほんと自分が情けなくて…」

「違うよ。けいちゃんは悪くない。悪いのはあいつ。けいちゃんはただ普通に、恋愛しようとしてただけでしょ?」

朔ちゃんの言葉に涙がポロポロとこぼれていく。

「けいちゃんを利用しようとしたあいつが全部悪い。一人妊娠させといて、けいちゃんまで妊娠させようとするなんて……。え…待って。無理やりってことは……」

朔ちゃんがわなわなと体を震わせ始めたのを見て慌てて首を横に振る。

「に、妊娠はしなかった。何とか対処はして…」

「ってことは、やっぱり……中出しされてたってこと!?」

「……うん……」

私がうなずくと朔ちゃんはショックが大きすぎたのか頭を抱えてしまった。

「そう…だよな…。妊娠させようとして無理やり抱いてたってことは…そりゃゴムつけないよな……。まじかよ…クソ野郎が……」

「で、でもそれも実際は、咲子のおかげなのっ。危ないってわかってたけど怖くて…産婦人科に行こうとしなかった私を、咲子が無理やり連れてってくれたから…」

咲子と久しぶりに会ったあのとき、東さんとのことを根掘り葉掘り聞かれてなかったら……と思うとゾッとする。

「そっか…。そのときの姉ちゃんに感謝しかないよ」

咲子の名前が出ていくらか冷静を取り戻したのか朔ちゃんが私の頬に触れる。

「いろいろ…ツラかったよね。けいちゃんが恋愛に前向きじゃないってことはなんとなく気づいてたけど…何でなのかはわからなかったから、今の話を聞いて納得した。思い出すのもツラいだろうに…話してくれてありがとう」

まるで自分のことのように、眉を下げて今にも泣いてしまいそうな朔ちゃんに涙が止まらない。

「……というか…僕、抑えられなくてキスしたりいろいろ触ってしまったけど……本当は嫌だった…?」

不安そうに少し目を伏せるのを見てブンブンと首を横に振るけど、朔ちゃんは納得いかない様子で目を伏せたまま。
あーもう! と思いながら、ガバッと抱きついた。

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