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幼なじみとしたいコト
第1章 幼なじみ
春希のほうへ身を乗り出して口を開く。
「私は見たことあるよ。で、春希はどうなの?」
サラッと言うと、春希は目を見開いて私を凝視した。
なに? と黙ったまま見つめ返すとパッと目をそらしてソワソワしだす。
「……ス、スマホで見たこと……ある」
「どんなの?」
「どんなのって……ふ、普通の……」
「普通? そんなんじゃわかんないよ。見せて」
「みっ!? いやいやいや……」
春希は反射的にガッとスマホを握りしめて座ったまま後ずさりした。
なるほど、判断が早い。
「え……見せてくれないの?」
「だって……さすがに……」
「そっか。じゃー仕方ない。旬くんに見せてもらおっ」
ガバッとベッドから起き上がって床に立つ。
スタスタと歩いていき部屋を出ようとドアノブに右手をかけると、左手をガシッと掴まれた。
「待って! だめっ、旬くんだけは絶対だめ!!」
必死に引きとめてくる春希の勢いに負けてドアノブから手を離すと、手を引かれてポスッとベッドに座らされた。
いつもベッドに座るなって言うくせに、こういうときはあっさりとベッドに座らせるんだから、春希の考えてることがたまにわからない。
だけど今、言いたいことはわかる。
旬くんは私たちの幼なじみで、恵まれた容姿を余すことなく利用している遊び人。
そんなチャラい幼なじみに「AV見せて」なんて口をすべらせた日には、私の処女はあっけなく奪われると思う。
そういう事情から中学生になってからは旬くんと個室で2人きりにならないように気をつけているし、旬くんの性質をわかっている春希としても私の身を案じて旬くんのところへ行かせたくないのだろう。
だから春希が引きとめてくれることも、旬くんの名前を出すと弱いという春希の性質をわかった上であえて口にした私が一番タチが悪い。