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木の実を集めて君にあげる
第2章 僕の暗黒時代
入試は散々だった。

取り敢えず滑り止めに、自分の高校の上にある大学は受けずに、
ライバル校と言われている私大を受けて合格していた。

同じ系列の大学を受けなかったのは、
東大受けると周りに言って、
内部推薦も断ってたから、
何となく嫌だったからだと思う。


発表が遅い国立の結果が出る前に、
取り敢えず、自動二輪と車の免許を一気に取って、
自信満々で合格発表を見に行ったら、
まさかの不合格だった。


発表の会場で、
お母さんと一緒の瑞樹ちゃんを見かけた。

嬉しそうに笑い泣きしていたから、
合格してるんだろうと思ったけど、
とても挨拶なんか出来ないまま、
そそくさの家に帰った。



父親と上の兄貴は、
「まあ、早稲田なら、
卒業生も学校愛も強くて、
良いんじゃない?
あとは、司法試験に早く合格することだな」と言っていた。


「浪人して東大に行きたい」と言ってみたけど、
「それより、早く司法試験受かりなさい」と言われて、
浪人することはスルーされた。


「東大に受かってたら、
合格祝いに車の一つも買ってやったのにな」と言ってた父親は、
「お前が乗ってたフォルクスワーゲン、
悠介にあげなさい。
お前はもう少しグレードが高い車にすれば良いだろう?
いい歳なんだから」と言って、
兄貴の乗っていた丸いフォルムのドイツ車に乗ることになった。


何故か一輪挿しが常備されてるヘンテコな車だった。


練習にと、母さんを乗せて春休み中は運転してた。


瑞樹ちゃんの家に送って行ったこともあったけど、
東大に落ちた自分がなんか恥ずかしくて、
家まで上がれなくて、
ぶっきらぼうに、
「電話くれたら迎えに来るよ」と言って、
逗子や葉山に1人でドライブに行った。


いつか、瑞樹ちゃんを乗せて、
ラ・マレー・ド・チャヤでお茶したり、
海岸でホットドッグ食べたり、
海に泳ぎに行けたら良いのにと思った。

でも、あんなに肌が真っ白な瑞樹ちゃんは、
きっと海なんかには入らないだろうと思ったりもした。


そして、あの時、
大学が何処かなんていう変なプライドなんかに拘らずに、
付き合ってくださいと言っておくべきだったと、
その時の自分の情けなさを、
後になって、ずっと悔やむことになることも、
その時は知らなかった。

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