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木の実を集めて君にあげる
第3章 再会したけど片想いは続く
なんでも出来そうな瑞樹ちゃんは、
「機械音痴で…」と可愛いことを言って、
そのまま僕に自分のスマホを渡してくれたから、
LINEを開いて友達登録して、
「同窓会実行委員会」っていうグループを作って瑞稀ちゃんを招待して、
「ここ、押してみて?」と言って、
グループに入れる。

その後、高橋を僕が招待して、
次にまた瑞樹ちゃんのスマホを借りて紘子ちゃんを招待しようとして、
瑞樹ちゃんの友達リストをさりげなくチェックした。

思ったより登録してる友達は少なくて、
紘子ちゃんはすぐに見つかった。

宇田川亮平っていう人と頻繁にやり取りしてるみたいで、トークの処の一番上に表示されてて、
胸がズキンとしてしまったけど、
何気ない顔でスマホを瑞樹ちゃんに戻した。


紘子ちゃんからはすぐに一言、
「任せるよ」と言う返信があって、
その後は既読もつかなかった。


高橋もすぐに既読にはなったけど、
旅行先にいるのは判っていて、
「帰国してからで良い?
時差で今日は無理」という返信があった。


瑞樹ちゃんはクスクスと楽しそうに笑った。

「これ、多分僕と瑞樹ちゃん2人でやらないと、
進まないヤツだな?」と僕は言って、
手帳を出してメモを始めた。


それをぼんやり見ていた瑞樹ちゃんは、
「お庭に咲いてた桜、観たいな」と呟いた。


桜の花吹雪の中、
紺色のリボンをつけた瑞樹ちゃんの姿が浮かんだ。

僕もぼんやりしてしまって、
心が何処かに飛んでいたのかもしれない。

すごくうわの空な相槌を打っていた。



「安西くん、文字が綺麗ね?」と言われたけど、
そういう瑞稀ちゃんの字もとても綺麗だった。


柔らかくて優しい香りは、
シャンプーなのか、
瑞樹ちゃん自身のものなのか判らないけど、
その香りでまた、ぼんやりしてしまう。


暫くすると、瑞樹ちゃんのお父様がゴルフバッグを担いで戻ってきた。

「安西くんだったっけ?
夕食でもどうかな?」と言われたけど、
これ以上瑞樹ちゃんと居ると、
魂まで無くなりそうなほど腑抜けになっていたので、
「そろそろ帰ります」と言った。


そしたら、思いがけないことに、
「私もそろそろ帰ろうかな?」と瑞樹ちゃんが言った。

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