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木の実を集めて君にあげる
第3章 再会したけど片想いは続く
うわ。
LINEにあった、宇田川亮平か?
きっとそうだよな。

そう思いながらも、
結構女々しく食い下がってる僕。
打たれ強いのか?


「付き合ってるの?」


瑞樹ちゃんが頷く。


本当に終わった。
はぁ。
幼稚園時代から16年に渡る片想いに、
ついに終止符が打たれたのか。


でも、瑞樹ちゃんに気を遣わせちゃってもいけないから、
明るく、軽い感じで言ってみた。


「そうだよな。
瑞樹ちゃん、こんなに可愛いんだから」

はぁ。
もう、泣きそうだよ、僕。



「彼氏くらい、いるに決まってるよね」

なりふり構わず、
アプローチしとけば良かった。
東大とか、早稲田とか、
気にしなきゃ良かったのに、
本当に、僕、チキンだよ。


「ごめん」

このごめんは、
いきなりキスしようとしたことに対してと、
変に気を遣わせてしまいそうなことを言ったことへの言葉。


ここまでをなんとか軽い感じで爽やかに言ってみて、
瑞樹ちゃんの様子をみてみたけど、
本当に困ってしまったみたいで、
動けないでいるから、

「車に乗ろうか?
寒いし」と言って、
そっと背中を押して、
車の方に向かって歩いた。


ロクシタンという謎のシャンプーの香りを嗅ぎながら、
車のドアを開けて座らせてあげてから、
運転席に座った。


その後は黙ったまま、車を走らせた。
静かな音量で音楽を流していたけど、
あんまり、沈黙が重たくなかった。

っていうか、一緒にいるだけでやっぱり幸せで、
沈黙すら心地良かった。

無理して話をしなくても良いとさえ感じて、
僕は流れる曲に合わせて小さく口笛すら吹いていた。


失恋のショックで、
おかしくなっていたのかな?


道路は結構空いていて、
思ったより早く瑞樹ちゃんのマンションに到着した。


もっと一緒に居たかったけど、
仕方ない。

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