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木の実を集めて君にあげる
第3章 再会したけど片想いは続く
小さい犬が入ったキャリーバッグを、
瑞樹ちゃんのお父様みたいに降ろしてあげる。

瑞樹ちゃんは僕を見上げて優しい笑顔を見せてくれたから、
僕は物凄くホッとして、そっと手を軽く握って、
「今度は実行委員会の4人で会おうね?」と言った。


車の時間と違って、
話が終わったらお別れの時間だと思ったら、
もうちょっと一緒に居たくて、
更に話を続けてしまう。


「ねえ、前みたいに名前で呼んでよ?」

悠介くんって、呼んでくれたら、
メッチャ嬉しいのにな。


「なんて呼んでたかしら?」

うわ。
忘れちゃったのか。


「覚えてないの?
冷たいな」と、
今度は僕が頬を膨らませてみたけど、
絶対、不細工で、可愛さのかけらもないだろう。


「次回までに思い出しておくね?」と、
可愛い笑顔を見せてくれたから、
それで良いやと思ってしまった。


うわ。
これで会話、終了か?


「途中で、夕食でもと思ったのに、
なんか、一気にここまで来ちゃったな。
犬、部屋に置いたら、
近くでご飯食べない?」

良いぞ。
バッチリの誘い方だけど、
犬の名前、なんだっけな?
訊いてなかった気がする。



そしたら、
びっくりするようなことを言われた。

「ダメなの。
門限だから」


えっ?
何、それ?
門限って?


「ほら。
もうすぐ8時でしょ?
その時間になるとね、実家から家電話に連絡入るの。
毎日よ?」


なるほど。
でも、それなら、
オトコと夜、外に行くことはないから、
安心だぞ。


「そっか。
じゃあ、今度はもっと早い時間に会いたいな。
あっ、実行委員会ってことだよ?」と、
おちゃらけて言ってみると、

「うん。
送ってくれてありがとう」と笑ってくれて、
両手でしっかりキャリーバッグを受け取った。




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