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木の実を集めて君にあげる
第5章 ドライバー爆誕
リビングに通される。
瑞樹ちゃんのお母様が紅茶やお菓子を出してくれて、
席を外すのを待って、
瑞樹ちゃんに声を掛ける。


「なんか、大丈夫?
痩せちゃったよね?
電話しても、折り返しもないし、
LINEも既読にならなくて、
心配してたよ?」と、
静かな口調でゆっくり話してみる。

その言葉が瑞樹ちゃんに届いているのかも判らないほど、
瑞樹ちゃんは儚くて、
そこに居るのに、居ないみたいだった。


「ロミオとジュリエットみたいに、
引き裂かれちゃったのよ」と、
紘子ちゃんが瑞樹ちゃんの小さな手を撫でながら囁くように言う。

「携帯も没収されてて、
私も話、殆ど出来なかったんだよね」


高橋が呑気な声で、
「大丈夫?」と言うけど、
勿論、大丈夫じゃないのは誰の目から見ても明白だった。



引き裂かれちゃったって、
宇田川亮平とだよな?

状況が全く見えないぞ。



瑞樹ちゃんは、僕のことなんて見えてないみたいで、
紘子ちゃんに取り縋るように小さい声で囁くように、
でも必死に言った。


「紘子さん、お願いがあるの。
江川さんに連絡して、
亮平さんの様子を見て来て欲しいの。
心配で…」と言ったまま、
涙を流している。


「4月に大学が始まったら、
会いに行けるかもしれないけど、
それまでは家からも出られないし、
携帯も没収されたままで、
連絡も出来ないの。
でも、四十九日には必ず伺いますからって伝えて欲しいの」


ん?
四十九日って何だ?
話が全く見えない。

疑問をそのまま口にしてしまった。


「四十九日って?」


でも、瑞樹ちゃんは震えて涙を流しているだけだった。




ダメだ。
泣いてる瑞樹ちゃんを見てるのも辛すぎて、
僕も耐えられそうにない。

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