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木の実を集めて君にあげる
第5章 ドライバー爆誕
帰宅して、部屋にそのまま入ってベッドに横たわる。

天井をぼんやり見ながら、
今日、聴いた話を整理してみようとする。

けど…。


ピルっていう単語が頭の中をグルグルしてしまう。



やっぱり、瑞樹ちゃん、あいつとセックスしてたんだな。

2月?
本当に僕、馬鹿だった。

出会ったのも暮れなら、
本当に大学決まったらすぐに、
瑞樹ちゃんに付き合ってくださいと言えば良かったのに。


もう一度、宇田川亮平をググってみると、
画像の処に新しいのが増えていて、
多分、瑞樹ちゃんが一緒に居る週刊誌かなんかの記事があった。

勿論、画像の顔はぼかされていたけど、
瑞樹ちゃんだってことはすぐに判った。


記事を検索すると、
元妻が子供の葬儀告別式に行ったのを、
2人で追い出したみたいな記事になっていて、
ギリギリと胃が痛くなる。

そんなことを瑞樹ちゃんがする訳はない。
なんだ?
この記事は?
と腹が立ってしまう。


こんな時間では、会社に掛けても誰も出ないだろう。



そして、静かに瑞樹ちゃんのことを考える。


瑞樹ちゃんは、あいつのことが好きだ。
あいつも同じ。
子供を亡くして、あいつは弱っていて、
瑞樹ちゃんは、あいつに同情もしていて、
逢えないことで一層、想いを募らせている。



でも…。


僕が瑞樹ちゃんのことを好きだということと、
そいつは、関係ないと思えた。

そして、
あいつに熱烈にアプローチされて始まった恋なら、
こっちも熱烈にアプローチして、
忘れさせてやれないかなとも思った。


ここで諦めて、
どうするんだ!!


そんな気持ちで、奮い立った。



取り敢えず、宣言して、
後戻り出来なくしようかと思って、
階下に降りていくと、
母さんがキッチンで何かを作っていた。


「あのさ。
僕、瑞樹ちゃんと付き合いたいと思ってるんだけど」

「あら。
良いんじゃない?
でも、それ、お母さんにじゃなくて、
瑞樹ちゃんに言わないとね?」と笑われる。


「明日、言ってみるよ」


「お花でも持って行って、
頑張ってね?」と、クスクス笑われる。


毎回、花、持っていってるよとは言えなかった。


それだけ言ったら、
ちょっとだけ気持ちが落ち着いてスッキリした気がして、
その日はすんなり眠れた。


きっと瑞樹ちゃんは今夜も眠れてないんだろうけど。
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